2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞生存因子によるアミロイド蓄積抑制の分子機序解析
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24890236
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
新倉 貴子 上智大学, 理工学部, 准教授 (10301491)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / 生理活性分子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
ヒューマニン (Humanin: HN)は申請者のグループが発見した神経細胞死抑制因子で、認知症を呈する代表的な神経変性疾患であるアルツハイマー病(Alzheimer’s Disease: AD)に関連した侵害因子による神経細胞死を抑制する。高活性型HNはADモデルマウスの記憶学習能力の低下を抑制した(PLoSOne2011)。同時に、HNを投与したマウスの脳では、ADの病態発生の原因とされるアミロイドベータの蓄積も抑制されていることを新たに見いだした。本研究課題では、HNによるアミロイドベータ蓄積抑制の分子機序を明らかにすることを目的とし、具体的にはアミロイドベータ分解酵素やミクログリアの活性化によるアミロイドの除去について検討を行っている。脳の免疫組織学的解析によりHN投与したマウスでは部位特異的にアミロイドベータ分解酵素ネプリライシン(NEP)の発現量が対照群より高いこと、in vitroの株化神経細胞ではHNがNEPの活性を上昇させることを見いだしたため、特にNEPに着目した。NEPの発現調節に対するHNの影響を確認するため、NEP mRNAを定量的に測定する定量PCRの確立を行った。一方、ミクログリアにおけるアミロイドベータ除去については、株化ミクログリア細胞BV2細胞を用いて経時的な検討を行った。高活性型のS14G-HNとHN受容体であるFPRL1のアゴニストの作用を比較すると顕著な違いが認められなかったことから、FPRL1の関与が考えられた。そこで、詳細な分子機序を知る手がかりとしてFPRL1の細胞内シグナル経路を検討し、その成果を学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全ての機器・器具を準備することから実験室の立ち上げを行ったため、特に初代神経細胞を使用する実験の開始時期や進行に遅れが生じた。そのため、株化細胞で実施可能な実験を優先させた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に従い検討を進める。特に初代神経細胞を用いた実験では前年度の計画内容も含めて薬理学的阻害剤などを組み合わせた検討を進める。
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