2012 Fiscal Year Annual Research Report
MPCを用いた安定的な抗菌性義歯床表面の獲得へ向けた基礎的研究
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24890238
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高橋 那奈 昭和大学, 歯学部, 助教 (80635061)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | MPC polymer / denture base resin / anti-biofilm formation / surface modification |
Research Abstract |
補綴装置に付着するプラークは口腔内や全身的にも為害作用を及ぼしかねない。さらに高齢化が進み補綴歯科治療の需要が増すであろう我が国において、補綴装置を介した感染症のリスクを軽減させることは急務である。我々はこれまでに生体親和性、タンパク質吸着抑制能、細胞付着抑制能に優れる2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine(MPC)を義歯床用アクリルレジン表面にコーティングすることで細菌のバイオフィルム形成を抑制することを見出した。この度の本研究は、“汚れない義歯”を開発すべく効率的で安定的なMPCコーティング法の確立を目指し計画したものである。 実施計画に則り、平成24年度はカンファーキノンを重合増感剤とする改良型のコーティング法の確立を予定し、以下の研究活動を行った。(1)これまでのグラフト重合法によるMPCコーティングの具体的な問題点の検討(2)改良型コーティングの予備実験(3)その他コーティング法の検索である。 (1)グラフト重合法で効率よく紫外線照射を行う方法に検討が必要なこと、原材料となるMPCを大量に使用すること、重合に専用装置が必要であること、耐久性が1ヵ月の義歯使用を想定した検証にとどまっていることなどが判明した。 (2)重合増感剤にカンファーキノンを用い、可視光線を照射してのMPCコーティング予備実験を行ったところ、コーティングの成否にムラがあり増感剤の配合の割合を検討する必要性があることが判明した。 (3)機能性モノマーである4-metaを使用してのMPCコーティング予備実験を行ったところ、十分にコーティングがされていることが判明した。今後耐久性などの検証が必要である。 これらの研究活動により、増感剤を用いたコーティング方法やさらに新しいコーティング方法による目的達成の可能性が示唆され、次年度も引き続きさらなる活動を行う所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規の修飾因子を用いてコーティング方法の選択肢の幅を広げる工夫をしたり、様々な問題点の抽出などの必要事項について解明は進んでいるものの、新しいコーティング方法の検証にとどまっており確立にまで至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
従来のコーティングも含め臨床試験に移行できるように迅速に研究活動を進めていきたい。研究計画にあるカンファーキノンに加え、4-metaやシランカップリング処理、DOPAなども新たにコーティング強化の因子として検討事項に加えて、コーティングの成否や耐久性の検証を行いたいと考えている。
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