2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24890240
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
松本 貴志 昭和大学, 歯学部, 助教 (00635039)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / BMP / Alx3 / 分子生物学 |
Research Abstract |
①BMPによるAlx3遺伝子の発現制御機構の解明として、BMPにより活性化される細胞内シグナル伝達経路の中で、いずれの経路を介しAlx3の発現が誘導されるのか、それぞれのシグナル伝達に対する特異的阻害剤を用いることにより検討した。その結果、BMP受容体を介するシグナル伝達に特異的な阻害剤であるDorsomorphin、およびBMP/Smad径路の重要因子であるSmad4の発現抑制によりAlx3の発現が有意に低下したことから、Alx3の発現がBMP/Smad径路を介することが示された。発現制御機構の解明は、分子生物学的意義の他、今後の研究活動における研究方法・検討手段としての応用に重要であると考えられる。 ②Alx3は脾臓細胞において、インスリンの発現を制御する際、転写因子E47と共役して作用する報告がある。Alx3の共役因子の同定は、Alx3の機能を増幅させる上で重要である。E47およびCart1を共役因子の候補とし、それぞれの強制発現ベクターを作製し、Alx3と共に遺伝子導入したところ、BMPによる骨芽細胞分化誘導能に差異は認められなかった。共役因子の解明に関して、現段階では他の手がかりがなく、今後の進展において困難であると考えられる。 ③Alx3が骨芽細胞を分化促進させる際、その標的遺伝子を同定することは、骨芽細胞分化を促進させる分子メカニズムの解明、さらには将来的に骨形成の促進を目的とした創薬の開発の際に重要であると考えられる。現在、Alx3を高発現することのできるプラスミドベクターを用い、CHIPマイクロアレイを行い、Alx3と結合するタンパク質を網羅的に解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画における課題のうち、2つの事象についての解析が修了しており、また、平成24年度内に平成25年度の研究課題が進展し、既にその解析が進められているため。
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Strategy for Future Research Activity |
Alx3の標的遺伝子の同定として、CHIPマイクロアレイによる網羅的解析の結果データより、現在候補因子を探索している。ここで挙げられた候補因子について同定実験を行っていく予定である。具体的な研究として、候補因子とAlx3においてクロマチン免疫沈降法により、網羅的解析の再現性を確認する。 また、Alx3のBMP活性促進因子としての臨床応用への可能性を検討する。Alx3を導入した多能性幹細胞を用いた骨内インプラントの骨結合促進法の基礎的研究として、Alx3遺伝子を発現するレンチウイルスベクターの作製、犬骨髄由来多能性幹細胞の選別およびAlx3遺伝子の細胞への導入、さらには犬脛骨への上記細胞を併用したインプラント埋入および各種解析を行う予定である。
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