2012 Fiscal Year Annual Research Report
修復象牙質形成におけるCTGF/CCN2の役割解明
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24890258
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
室町 幸一郎 日本大学, 歯学部, その他 (50637072)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 修復象牙質 / CTGF/CCN2 / BMP-1 / 歯髄/象牙質複合体 |
Research Abstract |
本研究は、齲蝕などの外来刺激に対する防御反応である修復象牙質形成の分子生物学的な機序をconnective tissue growth factor / CCN family 2 (CTGF/CCN2)を中心としたマトリセルラー分子に着目して解明することにより、歯髄/象牙質複合体が本来備えている創傷治癒機構に則した新規覆髄剤の開発に発展させることを目的とする。 Dentin sialophosphoprotein (DSPP) をdentin phosphoprotein (DPP)および dentin sialoprotein (DSP) / dentin glycoprotein (DGP) 複合体に分解するプロテアーゼであるbone morphogenetic protein-1 (BMP-1)がヒト歯髄培養細胞においてCTGF/CCN2の発現を濃度および時間依存的に促進することをSDS-PAGEおよびwestern blottingを用いて明らかにした。 ヒト抜去歯の脱灰組織切片を免疫染色により検討したところ、齲蝕直下に形成された修復象牙質においてBMP-1の発現が亢進することを見出した。 以上の結果から、修復象牙質の形成過程においてCTGF/CCN2およびBMP-1が関与する新たな機構が存在する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初、CTGF/CCN2がヒト歯髄中に存在する未分化間葉系幹細胞に及ぼす作用について検討していたが、その過程で新たにBMP-1がCTGF/CCN2の発現を促進する因子であることを見出した。 同時にBMP-1がヒト齲蝕罹患歯の修復象牙質において発現することを確認しており、これまで報告されていない新たな歯髄の創傷治癒機序を明らかにしつつある。 従って、当初想定していた結果とは異なるが修復象牙質の形成機序を解明するという点では進展がみられていることからおおむね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究結果から、修復象牙質の形成過程においてCTGF/CCN2とBMP-1が関与する新たな経路の存在が推定される。 そこでさらに詳細を明らかにするために、BMP-1がCTGF/CCN2の発現を促進する際にプロテアーゼ活性が必要か否かをBMP-1特異的阻害剤UK383367を用いて検証する。 また、BMP-1が細胞内に直接取り込まれて細胞にシグナルを伝達すると仮定し、BMP-1刺激後のヒト歯髄培養細胞から細胞質および核成分をそれぞれ抽出し細胞内に取り込まれたBMP-1の検出を試みる。 さらに、CTGF/CCN2が修復象牙質の基質となるtype I collagenやdentin sialoprotein (DSP)などのタンパク質と結合するかを明らかにするために、GST融合CTGF/CCN2を作製しpull-down assayを用いて検討する。
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Research Products
(2 results)