2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24890262
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
井出 良治 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (10638084)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | 関連痛 / 心疾患 / TRPV1 / ナトリウムチャネル / 篩状神経節 / 三叉神経節 |
Research Abstract |
虚血性心疾患の臨床重要な症状の一つとして口腔顎顔面領域の関連痛が存在することが知られている。しかしながら現在までその原因について詳細に究明されていなかった。そこで本研究は、心疾患の関連痛に関与すると考える迷走神経節の1つである篩状神経節(nodose ganglion)から心臓由来の一次知覚神経細胞を検出する新規技術を基盤とし、同神経細胞を単離培養し電気生理学的解析方法を用いて虚血性心疾患による口腔顎顔面領域の関連痛の発生を解明することを目的とする。申請者の新規技術は、心臓壁に蛍光トレーサーFluoro-Gold (FG) を注入した乳幼仔ラットを2日後にnodose ganglionを摘出して心臓から逆行性にFG標識された細胞を検出するものである。本手法でFG標識された細胞を単離培養し、パッチクランプ法を応用することによって機能的特徴を明らかにした上、異なる培養条件(低酸素環境)や疾患モデル動物(糖尿病・高血圧症ラット)に応用することによって心虚血・心血管障害が感覚機能に及ぼす影響を調べる。本研究は、心臓由来の感覚機能を一次知覚細胞レベルで評価し、心疾患の一症状として起こる口腔顎顔面領域の疼痛発生の機序を解明する方法を確立することを目標とする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は細胞の単離・培養の確立と電気生理学的解析による測定を計画していた。まず、細胞の単離・培養については、確実に安定した細胞数を単離・培養することが可能になり、電気生理学的解析にはパッチクランプ法を用いて再現性の高い実験を行えるようになった。よって、当初の目的は達成した。次に、電気生理学的解析手法を用いて、乳幼仔ラットの篩状神経節(nodose ganglion, NG)細胞についてテトロドトキシン抵抗性(TTX-R)の小型細胞を対象に、カプサイシン急性投与に対する興奮発生の有無を調べた。その結果、72パーセントの細胞でカプサイシン投与により活動電位の発生を確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度に確立した方法を応用し、また平成24年度に得られた結果を元に、更に詳細な検討を加える。 平成24度には、パッチクランプ法を用いた電気生理学的解析の対象を篩状神経節(nodose ganglion, NG)の小型神経細胞に限定していた。その結果、これらの細胞は高率にカプサイシンに対する感受性を示した。そこで、今後は、1)大型の神経細胞も含めてデータ採取・解析を行い、NG細胞のカプサイシンに対する感受性について詳しく検討する、2)高血圧症など心血管系に関わる疾患モデル動物を用いて正常動物との比較を行う、3)カプサイシン感受性と活動電位の発生について、TRPV1受容体とナトリウムチャネルとの関連性を調べる。同時に、平成25年度に予定している神経トレーサを使用した心室壁及び三叉神経領域の二重標識の実験を行い、各臓器から脳幹部に投射する一次知覚神経終末の分布を、組織学的に調べる。 以上の実験を行うことによって、内臓(主に心臓)の感覚と口腔顔面領域の感覚が互いに関連する可能性を機能面および組織学的側面から追求し、その結果、心疾患の症状が口腔顔面領域の非定型の症状として出現する機序を解明することができる。
|
Research Products
(1 results)