2012 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性疾患を重篤化させるHMGB1-IL‐1β複合体の形成様式と立体構造の解明
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24890263
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
杉木 俊彦 武蔵野大学, 薬学研究所, 助教 (70635698)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 構造生物学 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
本年度は、HMGB1およびIL-1βの組み換えタンパク質の大量精製の手法を確立することができ、さらに、HMGB1タンパク質とIL-1βタンパク質の物理化学的相互作用実験を開始することができた。 研究目的を達成するうえでまず最初にクリアすべきステップである、HMGB1およびIL-1βの組み換えタンパク質の大量精製は、大腸菌発現系によるタンパク質の大量産生法とカラムクロマトグラフィーを用いた生化学的手法を用いることにより、相互作用実験に供するうえで十分に大量の組み換えタンパク質を、高純度に得ることに成功した。具体的には、HMGB1組み換えタンパク質については、ニッケル樹脂を用いたアフィニティークロマトグラフィーによる精製作業の後、更に陽イオン交換カラムクロマトグラフィーと陰イオン交換クロマトグラフィーを行うことにより、95%以上に高純度化した組み換えタンパク質を大量に得ることに成功した。一方のIL-1β組み換えタンパク質は、加熱処理による夾雑タンパク質の除去操作の後にゲル濾過クロマトグラフィーを行うことにより、こちらも95%以上の高純度な組み換えタンパク質を大量に得ることに成功した。 そこで次に、得られた2種の組み換えタンパク質間の結合の親和性を定量的に調べる実験(相互作用実験)を開始した。相互作用実験は、蛍光偏光解消度測定法を用いて行った。具体的には、一方の組み換えタンパク質を蛍光色素で標識し、それに対してもう一方の組み換えタンパク質(非標識)を滴定することで蛍光偏光解消度測定を行い、タンパク質同士の相互作用によって変化する蛍光偏光解消度を解析することで両タンパク質間の結合親和性を計測した。現在、その実験の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の交付申請時に提出した「平成25年3月31日までの研究実施計画」を、概ね順調に達成できつつある状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
HMGB1組み換えタンパク質とIL-1β組み換えタンパク質間の分子間相互作用実験を本格的に進め、両分子間の結合親和性の決定と、物理化学的・構造生物学的手法を用いて両分子間の相互作用部位を明らかにする方針である。 その検討に並行して、HMGB1およびIL-1β組み換えタンパク質そのものの物理化学的特性および物性を、物理化学的実験手法によって明らかにする検討を進める方針である。これは、両タンパク質間の相互作用の物理化学的な機序を理解するうえで重要なテーマであり、相互作用実験に加えて推進する必要がある。
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