2012 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞のオートファジーを応用した効果的組織再生に向けたロジスティクス
Project/Area Number |
24890269
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
山田 陽一 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (20345903)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 再生医療 / 多能性幹細胞 / オートファジー |
Research Abstract |
オートファジーは自食作用といわれる大規模な細胞内分解・リサイクルシステムであり、生体の恒常性維持だけでなく癌をはじめ様々な疾患に関与していることが示唆されており、今最も熱い研究領域の一つである。一方、再生医療はiPS細胞の樹立により一段と社会から注目を集めており、多能性幹細胞のさらなる機能解明が求められている。本研究では、iPS細胞よりも多くの研究やデータの蓄積があり、その多能性から様々な応用が期待されているES細胞に焦点をあて、多能性細胞におけるオートファジーの機能、意義解明を目的として研究を行った。 多能性幹細胞におけるオートファジーの機能について探索するため、まずマウスES細胞におけるオートファジー関連遺伝子の発現について、定量的RT-PCRを用いて検討した。その結果、Atg12をはじめとするオートファジー関連遺伝子が発現していることが明らかとなった。また、University of California San Francisco校との共同研究により、ATG12 fl/flマウスよりES細胞を樹立後、cre-GFP遺伝子を遺伝子導入、フローサイトメトリーを用いてATG12ノックアウトES細胞を単離樹立した。 今後は、樹立したATG12ノックアウトES細胞の表現型等を解析することにより、多能性幹細胞におけるオートファジーの機能、さらには再生医療におけるオートファジーの影響・意義について検討を加える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の本年度の予定として計画していたES細胞におけるオートファジー関連遺伝子の発現についての検討と、ATG12ノックアウトES細胞樹立を行うことができた。University of California San Francisco校との連携もスムーズに行えており、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において樹立したマウスATG12ノックアウトES細胞を用いて、多能性細胞におけるオートファジーの機能・意義について検討をすすめる。 具体的には、まずATG12ノックアウトES細胞の細胞形態について観察する。また、ES細胞のマーカーであるOct4、Sox2、Nanogの遺伝子発現を定量的RT-PCR法、タンパク発現について免疫染色法を用いて検討し、増殖能についても検討を加える。またATG12ノックアウトES細胞からEB形成を誘導して形態観察を行う。その後、外胚葉、中胚葉、内胚葉への分化が起こるか否かについても検討する。 次に、ATG12ノックアウトES細胞におけるオートファジー機能への影響の検討を行うため、オートファゴソームのマーカーとして知られるLC3を用いて、ATG12ノックアウトES細胞においてオートファジーが誘導されているかどうかを、飢餓状態および通常の培養条件下にて調べる。また、透過型電子顕微鏡(TEM)による細胞内部構造の観察も行うものとする。 今後の研究においても、University of California San Francisco校と連携して研究を推進し、学会・学術論文等にて成果発表を行っていく予定である。
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