2012 Fiscal Year Annual Research Report
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24890289
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
白井 陽太郎 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 研究員 (30630545)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 癌 / デアデニレース / mRNA / 発現制御 / 病理学 |
Research Abstract |
本研究では、CCR4-NOT複合体の発現逸脱によるmRNA代謝異常が癌の進展に果たす機能に着目し、その新たなCCR4-NOT複合体の役割の解明、さらには難治癌における新たな治療の標的分子の同定を最終目標としている。 平成24年度は、数ある種類の癌細胞の中から、肺癌細胞株に焦点を定めることにし、CCR4-NOT複合体の機能を検討することにした。 まず、CCR4-NOT複合体のなかでも、癌抑制遺伝子の可能性も最近示され、多彩な生理学的機能の報告のあるCNOT3の機能を中心に解析することに定めた。 siRNAを用いた検討により、CNOT3が肺癌細胞の増殖に関与している可能性が示唆された。詳しく検討するため、理化学研究所から供与されたshRNAをテトラサイクリンで誘導するシステムを用いて、CNOT3をDOX依存的にノックダウンできる肺癌細胞株の樹立、およびCNOT3の過剰発現株を作製することにし、そのレンチウィルスを設計・作製した。 現在では、作製したウィルスを用いて、遺伝子が導入された恒常発現株を樹立し、CNOT3の癌の進展における作用について、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数ある種類の癌の中から、どの癌に焦点を当てるのかと、様々なCNOTsの中からどのサブユニットに焦点を当てるのかを決定するのに、スクリーニングとして様々な実験を行ったため、時間を要した。しかし、焦点が定まった今後は、進捗が早まり期間内に成果が得られることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した癌細胞株を用いて、細胞増殖試験、Ki67などの増殖マーカーの免疫染色よびFACSによる細胞周期の解析を施行することで、細胞増殖への評価を引き続き施行する。また、wound closure assay、chamber migration assay、3次元培養などを用いて運動能も比較検討する。さらに、癌の進展におけるCNOTsの役割をより臨床に近い像で評価するために、ヌードマウスに癌細胞を移植するin vivo移植腫瘍モデルを用いる。具体的には、新たに樹立した遺伝子操作した癌細胞株とコントロールの癌細胞の移植腫瘍の進展を比較することで、in vivoの腫瘍において増殖もしくは転移におよぼす機能を明らかにする。 得られた結果を基にして、上記の癌細胞やマウスへの移植腫瘍さらには可能であれば正常細胞を使用して、microarrayを施行して遺伝子発現を網羅的に解析し、CNOT3によるmRNA代謝制御の標的であり、そして癌の悪性化に関与する遺伝子を探索する。さらには、CNOT3とCNOT1の機能や標的の違いについても検討を進めていく予定である。 これらの研究を進める上での重要な情報の取得や、他機関の研究者との情報交換や手技の獲得のため、学会参加、他研究室訪問、打ち合わせの参加などを行う予定である。
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Research Products
(1 results)