2012 Fiscal Year Annual Research Report
血液透析中に行う低強度抵抗運動が透析患者の自律神経活動にもたらす効果の解明
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24890290
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Research Institution | Aichi Medical College for Physical and Occupational Therapy |
Principal Investigator |
河野 健一(河野健一) 愛知医療学院短期大学, その他部局等, 助教 (10638480)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 血液透析中の運動療法 / 自律神経活動 / 心拍変動 / 短期的効果 |
Research Abstract |
血液透析患者では慢性的に心拍変動が減退しており,副交感神経の不活化と交感神経の過活動が問題である.これらは透析中の血圧変動にも関与している.本研究では,透析中に行う運動療法(低強度のレジスタンストレーニングとペダリング運動)が,透析中の心拍変動にもたらす短期的効果について検討した.対象は適格基準を満たした外来通院中の血液透析患者8名である.透析中の心拍変動は,30分おきに測定したRR間隔からスペクトル解析を行い,高周波成分(0.15-0.40Hz:HF)と低周波成分(0.04-0.15Hz:LF)にわけ,副交感神経活動の指標であるHFと,交感神経活動の指標であるLF/HFを運動実施日と非実施日の間で比較した. 透析開始後60分,210分において,運動実施日は非実施日と比較して,HFが高い傾向(p=0.08)にあり,またLF/HFは低い傾向(p=0.08)にあった.統計学的有意差は認められなかったものの,180分以降の透析終盤は時間経過とともに,運動実施日はHFが上昇,LF/HFが低下し,一方で非実施日はHFが低下,LF/HFが上昇していた.このとき血圧の低下する症例は認められなかった. 透析開始後60分は運動療法実施時間と重なるため,透析中の運動療法は副交感神経活動を賦活する即時効果があると考えられる.また透析終盤において,副交感神経の不活化と交感神経の過活動を惹起せずに,血圧を維持した状態で透析を実施できるといった短期効果もあるのではないかと考えられる.引き続き症例数を積み増していく必要があると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は,血液透析中におこなう運動療法の短期効果を明らかにすることが目的であった.概ね仮説通りの結果になっており,順調に計画が進展していると考えられる.ただし,予定していたよりも症例数が少なくなっている.この原因は,対象の適格基準をやや厳しく設定したためと考えられる.この反省点を活かして適格基準を再考し,25年度の研究課題と並行して症例数を積み増していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に実施した研究課題は,25年11月の臨床生理学会にて発表すべく演題登録する予定である. 25年度の研究課題は,血液透析中の心拍変動と運動負荷中の心拍変動に対する3ヶ月間の運動介入の効果を検討する.血液透析中の心拍変動は24年度と同じ方法で測定する. 運動負荷中の心拍変動は,当初の計画書とは異なる方法で実施する.自転車エルゴメータにて症候限界性ランプ負荷試験を行い,漸増負荷に対する副交感神経活動の減衰と交感神経活動の増加,そして症候限界到達後の回復期における副交感神経活動の賦活と交感神経活動の減衰といった自律神経活動の反応性を心拍変動解析から評価する. 血液透析中の心拍変動と運動負荷中の心拍変動は,同一対象者に対して測定する予定である.対象は運動療法実施群12名,コントロール群(運動非実施群)12名を予定している.研究課題を推進する上での問題として,対象者の中でもコントロール群のリクルートが予定通り進まない可能性がある.その対策としては,研究協力者である研究施設の医師や看護課長からも研究への参加を促してもらうことでリクルートを進めていきたい.運動療法介入前の評価を6月から7月に実施し,介入後の評価を11月から12月に実施し,1月以降にデータ解析と論文執筆を進める予定である.
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Research Products
(5 results)