2013 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌を介したエピゲノム修飾による宿主免疫抑制機構の解明
Project/Area Number |
24890293
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古澤 之裕 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (80632306)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / DNAメチル化 / 制御性T細胞 / 炎症生腸疾患 |
Research Abstract |
腸管には100兆個にもおよぶ共生細菌が存在している。生体内において最大の免疫系である腸管免疫系は、共生細菌に対する過剰な免疫応答を起こさないよう巧みに制御されている。この免疫制御システムの破綻はクローン病など不可逆的な炎症性腸疾患の原因となる。そのため腸管には、制御性T細胞 (Treg)が数多く存在し、炎症やアレルギー反応の抑制に寄与している。クロストリジウム目細菌など一部共生細菌の定着は、腸管におけるTregの増殖を促すことが知られているが、その分子機構は不明であった。 本研究では、共生細菌定着によるTreg増殖の分子機構を調べるため、無菌マウスおよびノトバイオートマウスからT細胞を単離し、GeneChipによるマイクロアレイ解析を行った。共生細菌定着により腸管Tregの増殖が促され、Tregで発現上昇した遺伝子群の中にはDNAメチル化維持に関与するUhrf1が見いだされた。Uhrf1をT細胞特異的に欠損させると、腸管におけるTreg増殖が抑制され、マウスが大腸炎を自然発症していた。そこでUhrf1欠損マウスから単離したTregのRNAおよびDNAを単離し、マイクロアレイによる遺伝子発現解析と次世代シークエンサーによるメチローム解析による共相関解析を行った。細胞周期に関連する遺伝子に着目したところ、Cdkn1a遺伝子プロモーター領域のCpGがUhrf1欠損により脱メチル化しており、Cdkn1a発現の上昇が認められた。実際に、Uhrf1欠損したTreg細胞ではマスター転写因子であるFoxp3の発現に影響は見られなかったが、G0/G1期における細胞周期停止が顕著に認められた。 以上の知見から、腸内細菌は酪酸の産生とUhrf1発現の上昇を介して、宿主T細胞のエピジェネティック修飾を積極的に促すことで、Tregの分化・増殖を促進し腸管免疫系の恒常性維持に寄与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)