2012 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期・新生児期の栄養状態に起因する成人期の遺伝子発現異常の分子メカニズムの解明
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24890299
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
河合 智子 独立行政法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 共同研究員 (40423404)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 栄養 / エピジェネティックス / 周産期 |
Research Abstract |
妊娠期低栄養食の母獣から生まれた、新生仔肝臓における、レプチンレセプターの低発現の原因の分子メカニズムとして、エピジェネティック調節異常に注目した。レプチンは摂食抑制ホルモンである。当該年度において、レプチンレセプター遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化異常の箇所を新たに2か所同定した。現在、この異常領域と作用するトランス因子の同定を試みている。成熟期の食環境をはじめとする環境因子が、トランス因子の活性を変化させる可能性は、妊娠期の栄養状態にかかわらず、生じうる。同じ環境変化に対する応答の脆弱性を決定づける受け手側の原因の一つとして、今回同定した、妊娠期の母体の低栄養に起因するメチル化異常領域を指標に、この領域と作用するトランス因子の活性を変化させる環境因子とは何なのか?を、栄養環境の点から明らかにすることができる。さらに、同じトランス因子の調節下にあるレプチンレセプター遺伝子以外のエピジェネティック調節異常の同定に今後つなげていくことができると考えられ、妊娠期の母体の低栄養に起因する代謝異常のメカニズムを明らかにできると考えられる。 また、当該年度は、全ゲノムの7,8割のプロモーター部位のメチル化情報をカバーすることができることが知られている、Reduced Representation Bisulfite Sequencing(RRBS)法を確立することができた。現在、得られた結果を解析中である。これにより、よりゲノム全体に近い遺伝子領域を対象に、妊娠期低栄養に起因するエピジェネティック調節異常を明らかにすることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画していた、動物実験モデルより、結果を得ることができており、次年度解析予定の検体も順調に集まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、入手できているヒト検体の解析をすすめ、これまで得られた実験動物の結果、並びに他研究者らによって報告されている実験動物の結果と照らし合わせていく。
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