2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本語非母語話者のスピーチレベル観育成のための映像教材の作成
Project/Area Number |
24910016
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田所 希佳子 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 助手 (70646827)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 会話教育 / 意識化 |
Research Abstract |
○研究目的 本研究では、日本語非母語話者にとって習得が困難であるスピーチレベル(丁寧体や普通体などの文末の丁寧さ)の習得を目指し、スピーチレベル観育成のために、当事者意識を活用した映像教材を作成することを目的とした。スピーチレベル観とは、話し手としてスピーチレベルの使い分けの根拠となる考え、感情、及び聞き手として理解する際の考え、感情のことを指す。その育成とは、予め持っている自分のスピーチレベル観を内省し、客観的に捉えること、他者のスピーチレベル観との相違や多様性に気づくこと、自分なりのスピーチレベル観を模索する姿勢を持つことである。 ○研究方法 同じ国際寮に住む初対面の母語話者と留学生を対象に、20分間自由に会話させ、録画した後、文字化した。母語話者に丁寧体から普通体へのダウンシフトの見られた2会話から、それぞれ約1分半の部分を映像教材として切り取った。また、会話時に相手及び自分のスピーチレベルについて感じていたこと、考えていたこと(;当事者意識)を聞き出すため、会話の録画後、各当事者に再生刺激法によるフォローアップインタビューを行い、文字化した。会話の文字化資料と、文字化した当事者意識、先行研究の知見をもとにワークシートを作成し、映像教材を用いた授業実践を行った。 ○研究成果 授業に参加した学習者のインタビューをふまえ、本研究において作成した映像教材の意義は、以下のようにまとめられた。 1)本映像教材は日常的に起こりやすい場面であり、学習者にとって身近に感じやすい。 2)音声教材ではなく、映像教材であるため、会話者の表情や非言語行動から、会話者間の距離や雰囲気などを把握しやすく、スピーチレベルと関連づけて考えやすい。 3)教室という環境を活かし、日常生活では知ることのできない当事者意識を、映像教材を活用して客観的に知ることにより、スピーチレベル観育成を促進させることができた。
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Research Products
(1 results)