2012 Fiscal Year Annual Research Report
肺高血圧治療薬の併用が血中濃度推移に及ぼす影響ならびに機序の解明
Project/Area Number |
24926004
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
神山 直也 旭川医科大学, 薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / 血中濃度 / tadalafil |
Research Abstract |
本研究は、エンドセリン受容体拮抗薬とPDE-5阻害薬の相互作用が血中濃度に与える影響を明らかにすることで安全かつ有用性の高い併用療法を目指すことを目的として実施された。当初は単独療法から併用療法への切り替え時の血中濃度推移を中心に測定を行う予定であったが、該当する症例の集積が十分ではなかった。そのため、すでにこれらを併用中の症例や、今後併用療法に移行がする可能性のある症例における血中濃度についても測定対象を広げ検討を行った。その結果、本研究期間中、併用例11例、いずれか単剤の使用例を含めると21例の血中濃度測定を行うことができた。なお、実施を計画していたCYP分子種に関わる検討については、検討対象とすべき分子種の選定に至らなかったため実施していない。 これまで併用の前後で血中濃度推移を小児肺高血圧症患者において比較検討した報告はなかったが、本研究によって1症例ではあるがtadalafil単剤からbosentan併用へと移行した際の比較検討を行うことができた。その結果、tadalafilのAUCがbosentan併用前に比べ併用後では低下しており、この症例においては、bosentan併用によるAUCの低下率は成人で報告のある値と同程度であることが示された。BosentanのAUCは成人に比べ小児において低値を示すことがBeghettiらによって報告されており、この症例におけるAUCも、成人におけるAUCより低かった。しかしながらこの症例においてtadalafilのAUCが成人と同程度の比率まで下がったことを考えると、小児肺高血圧症患者のbosentan併用時のtadalafi1血中濃度の推定のためには更なる測定結果の蓄積が必要であり、現段階でtadalafi1の適切な投与量設定を求めるためには、症例ごとに併用前後の血中濃度の確認を行うことが必要であると考えられた。
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