2012 Fiscal Year Annual Research Report
NK1受容体拮抗薬アプレピタントの中枢移行メカニズムの解明と適正使用に関する研究
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24929012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 真弘 京都大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | アプレピタント / 悪心・嘔吐 / P-gp |
Research Abstract |
悪心・嘔吐は、抗がん薬による有害事象の一つであり、愚者のQuality of Lifeを著しく低下させることから、その予防と治療はがん治療を継続する上で重要である。NK_1受容体拮抗薬アプレピタントは、血液脳関門(Blood-Brain Barrier, BBB)を通過し、脳内NK_1受容体にサブスタンスPが結合するのを選択的に阻害することにより制吐作用を発揮するが、アプレピタントの中枢移行と制吐効果や副作用との関連を報告した研究は皆無である。そこで本研究では、アプレゼタントの中枢移行制御に関与すると考えられるP-糖タンパク質(P-glycoprotein, P-gp)に着目して、その発現を誘導する薬物(リファンピシン及びカルバマゼピン)とアプレピタントの併用状況を調査し、制吐効果について評価した。 2010年3月~2012年12月の間にリファンピシン又はカルバマゼピンを内服中であり、かつ調査期間内にアプレピタントを使用した化学療法施行患者を、院内電子カルテを用いて検索したところ、リファンピシン内服患者が1名、カルバマゼピン内服患者が2名であった。 上記抽出した3名の患者において、化学療法施行から5日間の悪心・嘔吐の発生状況をカルテ調査し、CTCAE Ver.4.0を用いてGradeを判定した。3名全員でGrade1-2の悪心を認めたが、他の制吐剤内服または経過観察により軽快していた。また、嘔吐のエピソードは無かった。以上の結果より、P-gp誘導薬剤を併用していてもアプレピタントによる制吐効果には影響しないことが示唆された。
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