2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24930021
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
猫沖 陽子 独立行政法人理化学研究所, タンパク質構造疾患研究チーム, テクニカルスタッフI
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | DISC1 / ハンチントン病 / PDE4 |
Research Abstract |
ハンチントン病における精神障害の発現機構を分子レベルで解明するために、本研究では以下の項目について研究を実施した。 1.ハンチンチンとDISC1、PDE4の複合体形成機構におけるハンチンチンに含まれるポリグルタミン鎖の長さやPDE4のisoformについて、培養細胞を用いて調べた。これまでに、ハンチンチンに含まれるポリグルタミン鎖の長さ依存的にDISC1との結合が増加しPDE4活性が上昇することが見出されていたが、この実験によりハンチンチンに含まれるポリグルタミン鎖の長さ依存的にPDE4とハンチンチン-DISC1複合体との結合が低下し、PDE活性が増大することが明らかになった。PDE4のisoformの違いによる複合体形成能の大きな違いは見られなかった。さらに初代培養細胞およびハンチントン病モデルマウス脳の神経細胞内にウイルスベクターを用いてDISC1もしくは複合体形成に必要な結合部位を欠損した変異DISC1タンパク質を発現させ、ハンチンチン、DISC1、PDE4複合体形成およびPDE4活性について調べた。この変異DISC1タンパク質を発現させたマウス脳神経細胞ではDISC1を発現させたマウスに比べ、PDE4活性の抑制が見られた。これらの結果よりハンチントン病における精神障害発症機序が明らかになり、治療に向けた分子モデルの構築が達成された。 2.ハンチントン病モデル細胞やマウスを用いて軸策輸送や神経伝達物質の放出効率と可溶性DISC1量との相関を調べるために、新たにアデノ随伴ウイルスを作製しDISC1遺伝子を導入する実験を行った。また、ハンチントン病モデルマウスにおけるDISC1および変異DISC1過剰発現マウス社会性を調べる行動解析ついての検討を行った。 以上の実験によりハンチントン病における精神障害の発現機構を分子レベルで解明した。
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