2024 Fiscal Year Research-status Report
新規小胞膜局在型モノアミントランスポーターの機能解析と創薬標的としての有望性評価
| Project/Area Number |
24K02198
|
| Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
保嶋 智也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (50753555)
|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 匡弘 帝京大学, 薬学部, 教授 (80369173)
山城 貴弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (20826614)
湯浅 博昭 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (20191471)
|
| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
|
| Keywords | モノアミン / トランスポーター / シナプス小胞 / 神経伝達物質 |
| Outline of Annual Research Achievements |
新たに同定に成功したシナプス小胞膜に存在する新規モノアミントランスポーターNVMT1(novel vesicular monoamine transporter 1)の機能解析を進めた。まず、NVMT1の輸送特性を簡便に評価するため、小胞膜局在シグナルを除去した細胞膜局在型変異体(NVMT1-AA)を作製し、ヒト胎児腎由来HEK293細胞に一過性発現させた。ドーパミンを用いた基礎的な輸送実験により、NVMT1-AAが高い再現性でドーパミン輸送活性を示すことを確認し、詳細な輸送機能評価を行った。さらに、ノルアドレナリン、セロトニンについても明確な輸送活性が検出され、ドーパミンと同様に、輸送機能評価を行った。これらの結果は、NVMT1が複数のモノアミンを基質とする可能性を強く示唆している。次に、NVMT1特異的阻害剤の探索に着手した。その結果、既存のモノアミン動態制御薬(SSRI、SNRI、VMAT阻害薬等)では、臨床使用時の血中濃度に相当する濃度ではNVMT1の輸送活性に対する有意な阻害は認められなかった。これは、NVMT1が現在臨床応用されているトランスポーター標的薬とは作用機序を異にする独立した輸送系である可能性を示す重要な知見である。さらに、阻害が認められた一部化合物については、より高濃度域での抑制効果を検討し、今後のリード化合物選定に向けた基礎データも得た。以上の成果により、NVMT1が従来のトランスポーターとは異なる新たなモノアミン調節機構を担うこと、また創薬標的としての独自性と有望性を裏付ける初期的エビデンスを確立することに成功した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、新規に同定されたシナプス小胞膜トランスポーターNVMT1の機能解明を目的としているが、これまでのところ、計画通りおおむね順調に進展している。その理由として、まず、NVMT1の輸送特性を簡便かつ高精度に評価できる実験系を確立できた点が挙げられる。具体的には、小胞膜局在シグナルを除去した細胞膜局在型変異体(NVMT1-AA)の作製に成功し、HEK293細胞への一過性発現により、各種モノアミンの輸送活性を高い再現性で検出可能な系を確立した。この系により、ドーパミンに加え、ノルアドレナリンやセロトニンに対する輸送活性も明確に検出し、基質特異性に関する初期的な知見を得ることができた。加えて、NVMT1の輸送特性について、基礎的な速度論的パラメータの取得にも成功しており、機能解析の基盤整備が順調に進んでいる。さらに、NVMT1特異的阻害剤の探索も着実に進行している。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに得られた成果を基盤として、NVMT1の生理的役割の解明をさらに進める。まず、脳内におけるNVMT1の発現分布を詳細に解析する。具体的には、各種脳領域由来のmRNAを用いたリアルタイムPCRによる発現解析に加え、ヒトおよびマウス脳切片を用いた蛍光免疫染色により、NVMT1の局在を可視化する。これにより、NVMT1が特定のモノアミン作動性神経系に選択的に発現しているかを明らかにし、機能的意義の仮説構築に繋げる。また、同時に、ドーパミントランスポーター(DAT)やノルアドレナリントランスポーター(NET)など、既知のモノアミントランスポーターとの発現パターンを比較することで、NVMT1の機能的独自性の検証も行う。次に、神経終末におけるモノアミン放出過程に対するNVMT1の寄与を解析する。具体的には、神経芽細胞由来のSH-SY5Y細胞を用い、脱分極刺激下でのモノアミン放出量を評価する系を確立し、NVMT1発現抑制(siRNA導入)による影響を定量的に解析する。これにより、NVMT1が神経終末におけるモノアミン恒常性維持に果たす役割を直接的に検証する。以上のアプローチにより、NVMT1の生理機能と神経伝達調節機構における位置づけを明確化し、精神疾患に対する新規創薬標的としての可能性をより具体的に提示することを目指す。
|
| Causes of Carryover |
令和6年度科研費において、配分された予算のうち約40万円が令和7年度に繰り越される理由は、研究分担者である大澤匡弘教授に配分された分担金が当該年度内に執行されなかったためである。本研究計画においては、研究代表者と複数の研究分担者が連携して各種の実験・解析を分担して進めているが、大澤教授が担当する予定であった研究課題に関して、実験材料の調製に時間を要した影響により、当初想定していたスケジュールでの実験が困難となった。そのため、該当する分担金については令和6年度内の使用実績が発生せず、所属機関の会計処理方針に従い、未執行分は次年度に繰り越すこととなったものである。今後は、令和7年度中に当該分担研究を適切に実施し、科研費の計画的な執行と研究の円滑な推進を図る予定である。
|