2024 Fiscal Year Research-status Report
スイス盟約者団形成初期におけるハプスブルク家の動向の実態解明
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24K21373
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| Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 俊之 金沢大学, 人文学系, 教授 (00303248)
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| Project Period (FY) |
2024-06-28 – 2027-03-31
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| Keywords | スイス盟約者団 / ハプスブルク家 / 森林諸邦 / ルツェルン同盟 / 村落 |
| Outline of Annual Research Achievements |
盟約者団国家スイスの形成過程に眼を向けた場合の第1の課題は、盟約者団vs.ハプスブルク家という従来のような対ハプスブルク闘争史観に基づく二項対立図式を克服することであるが、そのためにはこの二項対立図式を根拠づけてきた「歴史事実」とその解釈を検証し直し、ハプスブルク家による支配の実態解明を進めることである。 本研究では、「歴史事実」として二項対立図式を特徴づけてきた1291年の森林諸邦(原初三邦)による「永久同盟」(8月1日)、1315年のモルガルテンの戦い(11月15日)と「モルガルテン同盟」(12月9日)を皮切りに、今世紀に入って進展を見せている諸研究をふまえながら、この二項対立図式の「虚構」を切り崩していくことをめざしている。 今年度の大きな成果は、森林諸邦と都市ルツェルンが締結した1332年の「ルツェルン同盟」にどのような「虚構」が隠されていたかを明らかにしたことである。すなわち、1)ルツェルンと森林諸邦の1つシュヴィーツとの間に位置したゲルザウ、ヴェッギス、フィッツナウの少なくとも3村落は1332年の「ルツェルン同盟」ですでに盟約者団入りしていたにもかかわらず忘れ去られ、1359年の文書で盟約者団入りが再確認されたこと、2)それにもかかわらず3村落はその後も何度もルツェルンによって臣従宣誓を強いられ、盟約者団による仲裁裁定が繰り返されたこと、を史料から読み取ることができた。 「ルツェルン同盟」の締結をめぐる展開は“きわめて強固な同盟関係”に基づく盟約者団国家スイスの形成過程において重要なトピックであろうが、ここにハプスブルク家の影響力が認められないばかりか、ルツェルンvs.シュヴィーツの盟約者団の内紛、すなわち自己の利害を優先した“きわめて危うい同盟関係”を見出せた点を成果としたい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来は1315年のモルガルテンの戦いと「モルガルテン同盟」に焦点を当てるところから本研究は始まったが、目標の次の段階である「ルツェルン同盟」にも考察が及んだため。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究の計画調書で目標とした「モルガルテン同盟」に関する考察に立ち返って深化をめざすことに加え、新たに収穫を得た「ルツェルン同盟」をめぐるルツェルンとシュヴィーツの関係、ゲルザウ、ヴェッギス、フィッツナウの3村落の動向を分析することが課題となる。
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| Causes of Carryover |
本科研費(2段階審査)の正式な採択結果が出た8月後半だったため、夏期の海外渡航を計画できず、本来それに充てるべき金額を消化できなかった。次年度は海外渡航による史料調査を励行したい。
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