2024 Fiscal Year Research-status Report
新規な計測法を用いた電気自動車用潤滑油の分子設計論の基盤構築
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24K22927
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| Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宋 玉璽 名古屋大学, 情報学研究科, 助教 (51002646)
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| Project Period (FY) |
2024-07-31 – 2026-03-31
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| Keywords | トライボロジー / ナノ計測 / 境界潤滑 |
| Outline of Annual Research Achievements |
電気自動車(EV)用潤滑油には、ナノメートルスケールの摺動すきまに蓄積された電気エネルギーにより、摺動面間で放電が生じ、これが摺動面の損傷を引き起こす。一方で、摺動面間の直接接触による摩擦・摩耗を防ぐためには、潤滑油中に添加剤を配合し、摺動面上に吸着膜を形成する必要があるが、この吸着膜の存在はむしろ電気エネルギーの蓄積を助長する可能性がある。本研究では、分子構造の観点から放電抑制と摩擦抑制を同時に達成可能な添加剤の分子設計論の構築を目的としている。 今年度は、放電現象を実験的に観察するための新しい計測系の構築を主な目標とした。具体的には、吸着膜に電場を印加するための電極構造を、既存の吸着膜厚測定用セットアップ(エリプソメトリー顕微鏡)に統合した。そのため、ガラス基板上にCr膜をスパッタリングし、ナノメートル厚のCr膜が測定に支障を与えないよう膜厚設計と最適化を行った。 さらに、高分子添加剤によって形成される吸着膜の構造(コンフォメーション)とその摩擦・摩耗低減効果についても調査を行った。添加剤濃度を変化させ、吸着膜の膜厚および構造をエリプソメトリー顕微鏡および中性子反射率法により解析した結果、濃度が高くなるにつれて吸着膜の構造は扁平型からループ・テール構造を多く含むものへと変化し、より厚みのある潤滑膜が形成されることが明らかとなった。これは、ポリマー濃度によって吸着膜のコンフォメーションを制御可能であることを示唆している。また、吸着膜構造に対する電場の影響についても中性子反射率法を用いて検討したが、mmオーダーの電極間距離においては、印加電場による吸着膜構造の有意な変化は確認されなかった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、電場が吸着膜のコンフォメーションに及ぼす影響を調べる実験に着手するとともに、それに必要な新たな計測セットアップの構築を進め、所定の機能を有する装置を整備することができた。また、高分子吸着膜のコンフォメーションが潤滑特性、特に摩擦および摩耗低減性能に与える影響についても実験的に明らかにし、濃度変化による膜構造の変化と摩擦低減効果との関連性を定量的に把握した。
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| Strategy for Future Research Activity |
ナノすきまにおける電気絶縁破壊現象をモニタリングするための測定セットアップを、現在構築済みの吸着膜厚測定装置に統合する。これにより、膜厚・電気絶縁破壊の同時観察が可能となる。開発する装置を用いて、吸着膜のコンフォメーションが絶縁破壊の発生挙動に与える影響を系統的に調査し、さらにその結果と摩擦特性との相関を明らかにする。
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| Causes of Carryover |
消耗品の節約等により予算を残すことができた。今年度は無理に使用せず、次年度の研究をより円滑に遂行するために使用する。
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