2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25000007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 進 京都大学, 高等研究院, 特別教授
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Project Period (FY) |
2013 – 2017
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Keywords | 多孔性配位高分子 / 多孔質材料 / 錯体 / 吸着 / 階層 / ナノ空間 / 分離 / 金属-有機構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 水同位体を分離することのできる究極分離細孔物質の開発を目指して、ある多孔性配位高分子(PCP)をデザインし、その細孔内部における水分子の吸着状態を単結晶X線構造解析、中性子線回折、時間分解赤外線分光、および密度汎関数理論計算により詳細に調査した。単結晶X線および中性子線回折による構造解析の結果、細孔内部では制限された空間内で水分子がお互い水素結合することで、特異な正六面体状8量体クラスターを形成していることが明らかとなった。時間分解赤外線分光スペクトルの測定により、水分子は細孔内に吸着される過程でまず4量体を形成し、その4量体がお互い相互作用することで、最終的に8量体を形成するというメカニズムが明らかとなった。その構造は密度汎関数理論計算により裏付けされている。さらに、その8量体クラスターが低温で相転移することにより、特異的な吸熱ピークを与えることが熱測定により明らかになった。その挙動は単純な物理的モデルで説明できることがわかり、現在はそのモデルと実験の検証を行っている。軽水と重水でその相転移温度が異なることから、水同位体を分離できる可能性を示すことが出来た。今後は、この研究で開発された本PCPを足がかりに深く検討することで、相転移メカニズムの解明と同位体分離機能を実現する。 (2) エチレンのみに対して高選択的に応答し細孔を開孔させ吸着するPCPの開発に成功した。一方、本PCPはエタンに対しては全く応答せず、吸着しない。この性質を利用してエチレン/エタンの分離を実現した。詳細なX線構造解析により、エチレン分子が自ら本PCPの特定の部位に作用することで構造を「開く」というメカニズムが明らかとなった。本業績は、生体の酵素が発現するようなアロステリック効果にも似た基質選択的機能を固体材料へも応用可能であることを示した点で、重要な成果となった。 (3) 中空金属錯体へ様々な高分子を修飾を施すことにより、フイルムなどへの成形加工性を付与する技術の開発に成功した。本技術を利用して新たにガス分離メンブレンを作成し、二酸化炭素と窒素の分離試験を実際に行ったところ、中空錯体を持たない高分子メンブレン(対照化合物)に比べて約10倍も二酸化炭素の選択性が向上した。厳密に各ガスの透過率を調査したところ、中空錯体と高分子を複合化することにより、二酸化炭素の透過率を向上させ、かつ窒素の透過率を下げる(ブロックする)という効果に繋がることが明らかとなった。この基盤技術を利用し、今後様々な既存の高分子ガス分離メンブレンと中空錯体を複合化させることで、その高機能化を図ることが出来ると期待される。 (4) 光エネルギーを効率的に利用し、ガス吸着分離特性を変化させるPCPの開発に成功した。本PCPは、光照射により光応答性配位子がその構造を異性化させ、二酸化炭素吸着特性が可逆的に変化させる。本PCPは配位子の異性化効率が99%以上という高効率を示し、光エネルギーを効率よく変換することのできるデバイスへの応用が期待される。 (5) ガス吸着により細孔を開き、かつその構造を記憶する「形状記憶」的性質を有する新しいPCPを開発し、そのメカニズムを解明した。本成果により、PCPの細孔制御がより容易になり、新しいガス分離・貯蔵プロセスの開発へ繋がると期待される。
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Research Products
(59 results)
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[Journal Article] Readily Accessible Shape-Memory Effect in a Porous Interpenetrated Coordination Network2018
Author(s)
Mohana Shivanna, Qing-Yuan Yang, Susan Sen, Alankriti Bajpai, Nobuhiko Hosono, Shinpei Kusaka, Tony Pham, Katherine A. Forrest, Brian Space, Susumu Kitagawa, Michael J. Zaworotko
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Journal Title
Sci. Adv.
Volume: 4
Pages: eaaq1636
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Finely Controlled Stepwise Engineering of Pore Environments and Mechanistic Elucidation to a Water-Stable, Flexible 2D Porous Coordination Polymers2018
Author(s)
Haijun Wang, Haifei Cao, Jia-jia Zheng, Simon Mathew, Nobuhiko Hosono, Bihang Zhou, Hongliang Lyu, Shinpei Kusaka, Wanqin Jin, Susumu Kitagawa, Jingui Duan
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Journal Title
Chem. Eur. J.
Volume: 24
Pages: 6412-6417
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Efficient CO2 Removal for Ultra-Pure CO Production by Two Hybrid Ultramicroporous Materials2018
Author(s)
Kai-Jie Chen, Qing-Yuan Yang, Susan Sen, David G. Madden, Amrit Kumar, Tony Pham, Katherine A. Forrest, Nobuhiko Hosono, Brian Space, Susumu Kitagawa, Michael J. Zaworotko
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Journal Title
Angew. Chem. Int. Ed.
Volume: 57
Pages: 3332-3336
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Density Gradation of Open Metal Sites in the Mesospace of Porous Coordination Polymers2017
Author(s)
Jingui Duan, Masakazu Higuchi, Jia-jia Zheng, Shin-ichiro Noro, I-Ya Chang, Kim Hyeon-Deuk, Simon Mathew, Shinpei Kusaka, Easan Sivaniah, Ryotaro Matsuda, Shigeyoshi Sakaki, Susumu Kitagawa
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 139
Pages: 11576-11583
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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