2015 Fiscal Year Annual Research Report
プランテーションのダイナミックモデル開発による持続性評価と地域システムへの展開
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25220104
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤江 幸一 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 教授 (30134836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 隆一 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (20432297)
金子 信博 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (30183271)
後藤 尚弘 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50303706)
森 也寸志 岡山大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80252899)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | バイオマス利用 / 地力維持・増強 / リサイクルとLCA / 物質循環システム / 環境負荷・クローーズド |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究計画に従って、バイオマス残渣および有機性排水のリサイクル利用システムの導入によって、プランテーションにおける作物単収向上、土壌中への有機物蓄積、環境負荷低減および資源・エネルギー回収の最適化に資するため、Lampung大学に設定したキャッサバ栽培試験区、スマトラ島最大のサトウキビプランテーション、サトウキビとキャッサバの加工工場において研究を遂行し、以下に示した成果を得ることができた。1)作物収量向上を持続的に実現する栽培管理・施肥管理の探索を実施し、バガス・マルチを併用したサトウキビの収量を耕起・不耕起栽培で比較し、それぞれの効果を確認することができた。2)バイオマス残渣・排水の処理・リサイクルプロセスにおける炭素・窒素の収支解析からエネルギー回収、排水浄化能力に加えて液肥として利用効果の評価が可能になった。3)サトウキビ栽培におけるバガス・マルチおよびキャッサバ残渣を給餌した肥育牛の糞をそれぞれ農地還元することで土壌への有機炭素貯留と作物収量の向上に対する効果を確認することができた。4)バイオマス残渣および排水の循環利用による効果を予測するシステムダイナミクスモデル構築に必要な基本的な情報である作物栽培、作物加工、バイオマス残渣と排水の再資源化及び処理における炭素・窒素のフローを解析し、操作条件によるその変化を記述する物質収支モデルの開発に着手できた。加えて、5)バガス・マルチおよび牛糞堆肥の農地施用による土壌微生物の群集構造の変化をキノンプロファイル法によって把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)サトウキビのプランテーションに設定したバガス・マルチの有無と耕起・不耕起の効果を、実用レベルで比較するための4ヘクタールの試験区画において4年間にわたる試験を実施し、バガス・マルチを併用した不耕起栽培における単収が、通常の化学肥料を施用した耕起栽培における単収と同程度であり、前者では土壌中への有機物蓄積にも有効であることを明らかできた。 2)キャッサバ栽培における施肥管理による単収および土壌状態に対する影響を、試験圃場における4年間の実測を通して評価を行い、牛糞と化学肥料の混合肥料の施肥による栽培は、表層土壌5㎝への有機炭素の蓄積と安定したキャッサバ収量に有効であることを明らかにできた。 3)キャッサバを原料としたデンプン(タピオカ)製造過程の残滓であるオンゴックを給餌した牛肥育と堆肥化した牛糞の農地還元、キャッサバ加工排水のメタン発酵によるエネルギー回収と発酵廃液の液肥としての農地還元が可能であり、バイオマス残渣と高濃度有機性排水の有効活用を実現できることを示した。 4)サトウキビ栽培における耕起・不耕起とバガス・マルチ施用有無、キャッサバ栽培における慣行施肥(化学肥料)と牛糞を含む混合肥料の施用において、土壌微生物の群集構造に対する影響をキノンプロファイル法によって把握することができた。 5)バイオオマス残渣および排水の循環利用による土壌環境、作物収量、環境負荷、エネルギー回収等への効果を予測するシステムダイナミクスモデル構築に向けて、必要な基本情報である作物栽培、作物加工、バイオマス残渣の再資源化、排水メタン発酵における炭素・窒素のフローを元素分析により測定し、その元素フローと操作条件によるその変化を記述する物質収支モデルの開発に着手できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度であり、下記の研究をスマトラ島のプランテーションと農産加工工場において実施し、作物の持続的収量向上と加工工場からの環境負荷低減を実現するために、バイオマス残滓と排水の最適なリサイクルシステムをデザインし、その効果を評価できる手法を構築・提供する。 インドネシア最大のサトウキビプランテーションでは過去4年間に耕起・不耕起とバガス・マルチの有無による栽培管理、施肥管理を実施し、バガス・マルチと不耕起の併用が土壌中への有機物貯留と土壌生態系の多様化に加えて、耕起栽培と同程度のキビ収量が得られることを明らかにしてきた。今年度は、土壌状態と単収の変化をフォローアップするとともに、成果の他プランテーションでの活用を目指した取り組みを行う。 宮古島ではサトウキビ栽培と和牛繁殖における炭素・窒素収支の解析を実施しており、島外への依存と環境負荷を低減しながら、キビと子牛の生産性を向上するためのバイオマス残渣島内循環システムに関する研究成果を、スマトラ島での研究成果と対比することによって、システムの一層の最適化を推進する計画である。 キャッサバプランテーションについては、デンプン(タピオカ)製造工程の搾り滓であるオンゴックや皮、欠片の飼料化と排水メタン発酵を導入したバイオマス残渣循環がもたらす波及的効果を評価しながら、蓄積した炭素、窒素の収支データに基づいて循環システムのデザインを効率化するモデルの開発を進める。 オイルパームのプランテーションでは、ヤシ空果房の活用を推進し、土壌への有機物と窒素、カリの補給のためのバイオマス循環システムのデザインと評価を行い、温室効果ガスの排出抑制にも貢献する。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] The Effects of Nitrogen Fertilizer on Soil Microbial Communities Under Conventional and Conservation Agricultural Managements in a Tropical Clay-Rich Ultisol2016
Author(s)
Miura, T., Owada, K., Nishina, K., Utomo, M., Niswati, A., Kaneko, N., Fujie, K.
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Journal Title
Soil Science
Volume: 181
Pages: 68-74
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Shifts in the composition and potential functions of soil microbial communities responding to a no-tillage practice and bagasse mulching on a sugarcane plantation2015
Author(s)
Miura, T., Niswati, A., Swibawa, I. G., Haryani, S., Gunito, H., Arai, M., Yamada, K., Shimano, S., Kaneko, N. & Fujie, K.
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Journal Title
Biology and Fertility of Soils
Volume: 52
Pages: 307-322
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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