2016 Fiscal Year Annual Research Report
Beyond the Fertile Crescent: Tracing the Formation Process of the Nomadic Near East
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25220402
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤井 純夫 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (90238527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 一美 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (20303919)
足立 拓朗 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (90276006)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 西アジア / ヨルダン / サウジアラビア / 新石器時代 / 青銅器時代 / 遊牧文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
年度当初に計画していた4回の現地遺跡調査(ヨルダン2回、サウジアラビア2回)を実施し、所定の成果を得た。
1)2016年6月:ヨルダン南部ジャフル盆地のジャバル・ジュハイラ遺跡(Jabal Juhayra)の最終発掘調査によって、移牧母村問題を解く鍵となる特異な遺構を検出し、遊牧化過程の初期段階の様相を明らかにした。2)2016年8~9月:ヨルダン南部ジャフル盆地のハラアト・ジュハイラ遺跡群(Harrat Juhayra Sites)の発掘調査によって、遊牧化以前の乾燥地適応の実態を探ると同時に、銅石器時代~前期青銅器時代の先史遊牧民の墓制を明らかにした。3)2016年12月:サウジアラビア北西部ワディ・シャルマ遺跡群(Wadi Sharma Sites)の発掘調査によって、アラビア半島における銅石器時代~前期青銅器時代先史遊牧民の葬制を明らかにし、その背後にある社会集団組織の問題にアプローチする資料を得た。4)2017年3月:サウジアラビア北西部ワディ・モホラック1号遺跡(Wadi Mohorak 1)の発掘調査によって、上記の問題を別の角度から再検討し、大型円形祭祀遺構文化と円塔墓文化の連続性を捉えた。
これらの調査を通じて、課題①「肥沃な三日月弧」からの派生:短距離移牧の成立過程(先土器新石器文化B後半)、②「肥沃な三日月弧」からの離脱:初期遊牧の成立過程(後期新石器文化~銅石器文化)、③「肥沃な三日月弧」からの自立:遊牧社会の形成過程(前期青銅器時代)、の解明に大きな進展が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた調査を全て実施し、遊牧化過程を追跡する上での重要なデータ・所見を得ることができたため。また、最終年度の総括に必要な準備が整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度も、4回の現地遺跡調査を計画している。うち2回は、ハラアト・ジュハイラ遺跡群(ヨルダン)、残り2回はワディ・グバイ遺跡群(サウジアラビア)である。これらの調査を通して、研究課題の最終的な総括を行う。
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Research Products
(8 results)