2016 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum Physics with Macroscopic Quantum Systems
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25220601
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
仙場 浩一 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 上席研究員 (50393773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水落 憲和 京都大学, 化学研究所, 教授 (00323311)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 巨視的量子系 / 共振器量子電磁力 / 超伝導量子ビット / 回路QED / スクイージング / ダイヤモンド / NV中心 / スピン |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度, 代表者のNICTグループ(仙場; 吉原,布施:連携)では、超伝導人工原子・マイクロ波電磁場(LC共振器)結合系に於いて、世界に先駆けて相互作用エネルギーが結合系の最大エネルギーである深強結合(DSC)を実現し、透過スペクトル測定に成功した[1]. 遷移スペクトルに現れた選択則は、シュレディンガー猫状態のような「もつれた基底状態」を強く示唆するもので、従来の強結合系とは全く異なるDSC特有の現象が初めて観測された. 京大グループ(水落:分担)では、他の量子系との量子結合(相互作用)の増強を図るために、N-V軸を結晶軸に対し、1つの方向のみに揃えたダイヤモンド中の集団電子(NV)スピンのコヒーレンスの改良に取り組んだ.NTTグループ(齊藤,角柳,松崎:連携)では、マイクロ波共振器と結合した約4500個の超伝導磁束量子ビットを作製し、集団増強効果を含んだ透過スペクトル測定と解析に成功した[2]. 光と物質の強結合を中心的なテーマとした 国際会議 IWQD2017:International Workshop on Strong Light-Matter Interactions in cavity & circuit QED systems in the Light of Quantum Technology を H29年3月6~8日に連携研究者 根本の所属する国立情報学研究所(NII)で開催した. [1] F. Yoshihara, T. Fuse et al., Nature Physics 13, 44(2017), H28年10月11日 報道発表「光子と人工原子から成る安定な分子状態を発見」を行い、日刊工業新聞他3紙に掲載された. [2] K. Kakuyanagi et al., Phys. Rev. Lett. 117, 210503 (2016).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、5年計画の4年目までに測定系の準備を整え、最終年度までに超強結合領域での未知の現象を明らかにする予定であったが、5年計画の4年目までに作製した、超伝導人工原子・LCプラズモン系の試作試料を用いて、相互作用エネルギーが結合系の最大エネルギーである深超強結合 (Deep Strong Coupling : DSC) 領域の実現に世界に先駆けて成功した。量子Rabiハミルトニアンを用いたDSC系の遷移スペクトル分光の解析から、基底状態を含む結合系のエネルギー固有状態は、qubit 状態とプラズモンの Fock 状態とで構成されたシュレディンガー猫状態であるという解釈が強く支持される。この新種の基底状態は、マイクロ波(プラズモン)が超伝導人工原子の基底状態に纏わりついた一種の超放射状態とも解釈でき、強結合分野における永年の懸案であった Dicke 相転移に関する No Go 理論や、非常に強い結合領域で重要となる電磁相互作用におけるベクトルポテンシャルの非線型項(A^2 項)問題に関しても重要な実験的証拠を提供できる。 大阪大学グループでは、ダイヤモンド中の集団電子(NV)スピンと他の量子系との量子結合(相互作用)の増強を図るため、N-V軸を結晶軸に対して1つの方向のみに揃える事に取り組み、比較的高濃度において、高い配向性を実現した。H28年1月より、京都大学に異動したが、装置の移動をH27年度末に行い、H28年度の研究準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度、Q1「超伝導人工原子」⇔B1「LCプラズモン」の DSC(Deep Strong Coupling)領域 に関しては、これまでに準備を進めて来た量子極限増幅回路を使った時間領域測定を用いて、今回得られた新たな基底状態が、物質とマイクロ波領域の励起からなる Schrödinger 猫状態であることの より直接的な実験的証拠や、超放射量子相転移の生じるパラメータ範囲に関するより詳しい知見が得られる見込みである。Q1「超伝導人工原子」⇔B3「スピン集団のスピン波」 のアプローチに関しては、京大グループが作製に成功したN-V軸が1つの方向のみに揃ったNVダイヤモンド、あるいは、大阪市立大グループが作製に成功した分子マグネットを用いて超強結合実現を目指す。京大グループは、方向制御の更なる高配向化と高濃度化を行い、更に並行して既に作製に成功した、N-V軸が一つの方向のみに揃ったNVダイヤモンドを用いて、レーザとスピン集団の強結合の実現を目指して 低温で作動するレーザ顕微鏡を用いた実験を進める。
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Research Products
(31 results)
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[Presentation] Control of Charge States of NV Center by Pin Diamond Junction2016
Author(s)
Takuya Murai, Toshiharu Makino, Hiromitsu Kato, Yuki Doi, Yoshishige Suzuki, Mutsuko Hatano, Satoshi Yamasaki, Maki Shimizu, Hiroki Morishita, Masanori Fujiwara, and Norikazu Mizuochi
Organizer
MRS Fall Meeting & Exhibit
Place of Presentation
Boston, USA
Year and Date
2016-11-30 – 2016-12-02
Int'l Joint Research
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[Presentation] Control of charge states of NV center in diamond by pin junction2016
Author(s)
T. Murai1, T. Makino, H. Kato, Y. Doi, Y. Suzuki, M. Hatano, S. Yamazaki, M. Shimizu, H. Morishita, M. Fujiwara, N. Mizuochi
Organizer
PASPS9
Place of Presentation
INTERNATIONAL CONFERENCE CENTER KOBE, Kobe, Japan
Year and Date
2016-08-07 – 2016-08-11
Int'l Joint Research / Invited
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