2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25220603
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 耕三 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (00232439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦山 健治 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20263147)
酒井 康博 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (30401235)
横山 英明 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (80358316)
原田 慈久 東京大学, 物性研究所, 准教授 (70333317)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 高分子構造・物性 / 高分子合成 / ナノ材料 / 超分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
環動ゲル膜の物質透過挙動を詳細に調べるために、自動膜透過試験システムを構築した。ゲル膜の一方の側(ドナー)に溶質を含んだ水溶液、もう一方(アクセプター)に水が接するようにし、浸透圧(濃度勾配)によって溶質が透過する様子を調べた。溶質透過量の経時変化を調べるため、アクセプターセルから少量の溶液をポンプによって少量ずつ蒸発型光散乱検出器またはUV検出器に自動で送液するシステムを作製した。手動でアクセプターセルからサンプリングして溶質濃度を調べる場合に比べて、格段に実験精度が向上した。低分子の透過挙動を調べることで、環動ゲル内部における溶質の拡散係数を実測する手法を確立した。 圧力によって溶媒が環動ゲル膜を透過している状態における網目構造解析を小角X線散乱によって試みた。ゲル膜に圧力をかけられる試料セルを作製し、放射光施設での実験に取り掛かった。 環動ゲルおける高分子鎖のスライドは環状成分のエントロピー弾性と競合していると考えられるため、環のエントロピーを減少させるための材料設計について検討した。具体的には、まず環動ゲルの前駆体であるポリロタキサンの充填率(軸上の環状成分密度)を大幅に減少させる合成法を開発した。軸となる高分子鎖末端にやや嵩高い官能基を導入することで包接する環状分子数が減少し、末端封鎖の結果、従来よりも五分の一程度まで充填率が低下したポリロタキサンを高収率かつ再現性良く得られるようになった。 調製時のポリロタキサンの濃度および架橋剤濃度を変化させた環動ゲルの試料群を作製し、二軸伸長測定により様々な変形状態の応力-ひずみ特性 を調べた。固定架橋点から成る化学ゲルに比べて主軸間のひずみの交叉効果が極めて小さいという環動効果に由来する特徴が見いだされ、環動ゲル の弾性ポテンシャルはGentモデルでよく記述できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、環のエントロピーを制御することで様々な物質にオンオフ特性を示すデジタル物質輸送膜システムの創成を目指している。今年度、物質透過挙動を詳細に調べるために、自動膜透過試験システムを構築したこと、環のエントロピーを制御するためにポリロタキサンの充填率(軸上の環状成分密度)を大幅に減少させる合成法を開発できたことなどから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、まず自動膜透過計測システムを利用して、様々な溶質を用いた溶質透過実験を行い、環動ゲル膜の物質透過特性の特異性を明らかにする。また、環動ゲルの構造解析においては、浸透圧下におけるゲルの構造解析を行うための試料環境を整える。さらに、充填率を大幅に減少させたポリロタキサンを用いて環動ゲルを合成し、その応力-伸長特性及び小角X線散乱による構造解析を行うことで、変形下における網目構造の変化に対する環のエントロピー効果を明らかにする。
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[Journal Article] Selective Probing of OH or OD Stretch Vibration in Liquid Water using Resonant Inelastic Soft X-ray Scattering2013
Author(s)
Yoshihisa Harada, Takashi Tokushima, Yuka Horikawa, Osamu Takahashi, Hideharu Niwa, Masaki Kobayashi, Masaharu Oshima, Yasunori Senba, Haruhiko Ohashi, Kjartan Thor Wikfeldt, Anders Nilsson, Lars G. M. Pettersson and Shik Shin
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Journal Title
Physical Review Letters
Volume: 111
Pages: 193001 1-5
DOI
Peer Reviewed
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