2016 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度テラヘルツヘテロダインCTおよび分光イメージングの実現
Project/Area Number |
25220606
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川瀬 晃道 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00296013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南出 泰亜 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, チームリーダー (10322687)
林 伸一郎 国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センター, 主任研究員 (70360188)
|
Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
|
Keywords | テラヘルツ / 非線形光学 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ波の産業応用を目指して,我々は,長年に渡り非線形光学結晶であるMgO:LiNbO3を用いた光注入型テラヘルツ波パラメトリック発生器(is-TPG)の研究開発を行ってきた.is-TPGは波長可変光源ゆえに分光の際に波長掃引が必要であるが,今年度は,is-TPGの多波長同時発生を実現することで波長掃引の手間を省き,1パルスでの分光(リアルタイム分光)を目指した. is-TPGはMgO:LiNbO3結晶に励起光(1064 nm)と注入光(1066~1075 nm,CW)を角度位相整合条件を満たすように入力し,注入光の波長を選択することで広帯域波長可変テラヘルツ波を発生する.今回その注入光を多波長化することでテラヘルツ波の多波長発生を行った.また,発生した多波長テラヘルツ波は,is-TPGの原理を用いた検出手法により,近赤外検出光に波長変換し検出した.この時,検出光は角度位相整合条件に従って波長毎に発生角が異なるため,同一光路で入力された多波長テラヘルツ波でも,各波長を空間的に分離して検出できる. 4波長同時発生及び検出を実現し,またシステムとして6桁以上のダイナミックレンジを確認した.本システムを用いて糖類の測定を行った結果は明瞭であり,マルトース,グルコース,ラクトースの40%含有ペレット(60%はポリエチレン)を3波長のテラヘルツ波を用いて分光した.テラヘルツデータベース(http://thzdb.org/)より参照したそれぞれの試薬の吸収スペクトルに一致したテラヘルツ波の減衰が確認でき,多波長is-TPGを用いて1パルスで糖類の識別が実現した.レーザーの繰り返し周波数(11Hz)のフレームレートで測定が行えるため,リアルタイムでの試薬識別が実現したといえる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光注入型テラヘルツパラメトリック発生/検出に関し、多波長の光注入光を用いることにより、テラヘルツ波の多波長同時発振/同時検出が可能であることを原理実験で最近確認した。 これは、1パルスのテラヘルツ波で分光計測が可能となることを意味しており、分光イメージングの大幅な高速化につながる極めて重要な成果である。 さらに追加交付によって、多波長実験に必要な半導体波長可変レーザーを購入し、本年度中にテラヘルツ分光イメージングの高速化を世界に先駆けて実現し得たことは特筆すべき成果である。 なお、多波長同時検出についても、多波長のテラヘルツ波パルスを近赤外光にアップコンバージョンし、CCDカメラで撮像することで実現し、今年度中にワンパルス分光イメージングの原理確認まで達成し、学術論文として発表した。これは、元々の研究計画にある「高速分光」を多波長発振という今回新たに成功した技術によって実現したものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の根幹をなす光注入型テラヘルツパラメトリック発生/検出に関し、多波長の光注入光を用いることにより、テラヘルツ波の多波長同時発振/同時検出が可能であることを原理実験で確認した。 これは、1パルスのテラヘルツ波で分光計測が可能となることを意味しており、分光イメージングの大幅な高速化につながる極めて重要な成果である。今年度は、多波長半導体波長可変レーザーを用いて、テラヘルツ分光イメージングの高速化に向けた多波長テラヘルツ波発生技術を完成する。 なお、多波長同時検出についても、多波長のテラヘルツ波パルスを近赤外光にアップコンバージョンし、CCDカメラで撮像することで可能であるため、ワンパルス分光イメージングの技術を確立する。これは、元々の研究計画にある「高速分光」を、多波長発振という新たに成功した技術によって可能とするものである。 また、非破壊分光検査システムの実用性能評価についても行う。その評価には、実際の様々なサンプル計測、システムの性能チェック、課題点のフィードバック等が含まれる。 例えば、実際のニーズとして、薬局で患者に手渡される薬が実は無視できない確率で間違っている、という問題が指摘されており、理想的には、患者に手渡す直前に紙袋やビニール袋の上から試薬の成分チェックをテラヘルツ分光で行うシステムが望ましい。既存のテラヘルツ技術ではこのような検査は困難とされていたが、今回の我々の高感度システムを適用することで実現可能性が高い。今年度、テラヘルツイメージングシステムとベルトコンベアーシステムを組み合わせ、封筒内や薬包内のターゲットを抽出し、指紋スペクトルで試薬の種類を識別する実用的なシステムを完成する。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] THz spectrometer using is-TPG (Invited)2016
Author(s)
K. Kawase, K. Murate, S. Hayashi
Organizer
10th Asia-Pacific Laser Symposium (APLS 2016), KAL Hotel, Jeju, Korea (May 10-14, 2016).
Place of Presentation
KAL Hotel, Jeju, Korea
Year and Date
2016-05-10 – 2016-05-14
Int'l Joint Research / Invited
-
-
-
-
-
-