2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25221003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塩見 春彦 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60202107)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | エピゲノム / エピジェネティクス / トランスポゾン / piRNA / RNAサイレンシング |
Research Abstract |
霊長類を含む哺乳類Piwi-piRNA 複合体(piRISC)の解析を行い、本年度は以下のことを明らかにした。 1. マーモセット(Callithrix jacchus)精巣における小分子RNAの大規模配列解析を行い、新規miRNA 300種を含む約700種類のmiRNAを同定した。さらに、~11,000,000リードの小分子RNAがpiRNAに相当し、しかも、これらの大半がPIWIタンパク質に1つであるMARWI (PIWIL1)と複合体(piRISC)を形成していることを明らかにした。これらpiRNAが転移因子のみならず偽遺伝子に由来していること、そして、それらの大半が元の親遺伝子に対してアンチセンスであることを見いだした。これらの結果は、MARWI-piRISCが転移因子抑制のみならず、細胞の遺伝子の発現制御にも関与していることを示唆する。 2. マウスには存在せず霊長類には存在する第4のPIWIであるPIWIL3の特異的な抗体を作成した。発現解析を行い、PIWIL3が霊長類(ヒトとマーモセット)においてこのPIWIが卵巣において特異的に発現していることを確認した。しかも、卵巣内で成長過程にある卵の細胞質にのみ発現していた。他のPIWI (PIWIL1, PIWIL2, PIWIL4)は精巣での発現は確認できた(RNA-seq, RT-PCR, Western blot解析)が、卵巣ではほとんど発現していないようである。つまり、PIWIL3のみが卵巣で発現している。これらの成果はPIWIL3が卵形成に関連している可能性を示唆する。マーモセット卵巣における小分子RNAの大規模配列解析を行い、miRNAとpiRNAに相当する小分子RNAを同定した。現在、これら小分子RNAの配列解析を進めている。 以上のように、霊長類PIWIが転移因子抑制のみならず、偽遺伝子由来のpiRNAを介してタンパク質をコードする遺伝子の発現制御にも密接に関与していること、そして、卵巣では卵細胞の成熟過程に関与している可能性を示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
霊長類PIWIが偽遺伝子由来piRNAを介してタンパク質をコードする遺伝子の発現制御にも関与しているという発見とPIWIが卵形成過程に関与する可能性は、今まで全く知られていなかった新しい成果であり、マウスでは見られない霊長類特異的な新規遺伝子発現制御の存在を支持する重要な発見である。
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Strategy for Future Research Activity |
piRISCによる哺乳類生殖エピゲノム形成機構の理解には、生化学的な解析を容易にする培養細胞が不可欠である。このため、今後は、マウス生殖幹細胞/精子幹細胞(GS)を用いて、piRISC機能解析系の樹立を進める。さらに解析を容易にするため、GSの不死化を試みる。今後、このような細胞株の樹立とそれを用いたpiRISC解析系の開発を進める。
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[Journal Article] DmGTSF1 is necessary for Piwi-piRISC-mediated transcriptional transposon silencing in the Drosophila ovary.2013
Author(s)
Ohtani, H., Iwasaki, YW., Shibuya, A., Siomi, H., Siomi, MC., and Saito, K.
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Journal Title
Genes & Development
Volume: 27
Pages: 1693-1705
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[Presentation] piRNAs in common marmoset.2013
Author(s)
H. Siomi, Hirano T, Iwasaki YW, Seki NM, and Siomi MC.
Organizer
FASEB meeting on Mobile DNA in Mammalian Genomes
Place of Presentation
Big Sky, Montana
Year and Date
20130609-20130614
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