2016 Fiscal Year Annual Research Report
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25221102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 茂穂 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20344070)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | プロテアソーム / ユビキチン / タンパク質分解 / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
下記1-4の項目について研究を行った。 1.プロテアソームサブユニットの転写を制御する機構の解明:ゲノムワイド siRNAスクリーニングにより、哺乳類細胞においてプロテアソーム機能低下時にプロテアソームサブユニット群の転写を一斉に亢進させる転写因子Nrf1を小胞体膜から切り離すことにより活性化させるプロセシング酵素DDI2の同定に成功した。この経路はプロテアソーム阻害剤による抗がん治療における同薬剤耐性獲得の主要な機構であり、DDI2阻害剤の開発によりプロテアソーム阻害剤との併用でがん治療において相乗的効果をもたらすことが期待できる。 2.プロテアソームの分子集合機構の解明とその病態生理的意義の理解:胸腺プロテアソームサブユニットβ5tがFoxn1依存的に発現制御を受けることにより、胸腺皮質上皮細胞において胸腺プロテアソームが形成されることを明らかにした。 3.プロテアソームの細胞内動態の解析:プロテアソームの細胞内局在に影響を及ぼす因子をゲノムワイドsiRNAスクリーニングにより解析を実施し、プロテアソームの核内局在に関与する経路を同定した。また、。プロテアソーム会合因子Proteasome Inhibitor 31-kDa (PI31)の条件付き遺伝子欠損マウスの解析により、in vivoではプロテアソームによるタンパク質分解を正に制御すること、精子の正常な発達に必須であることを明らかにした。 4.プロテアソーム機能低下により惹起される病態生理の解析:プロテアソーム機能低下と相乗的に細胞死を誘導する経路を明らかにした。同経路にはすでに阻害剤がいくつか存在しており、プロテアソーム阻害剤との併用でがん治療において相乗的効果をもたらすことが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.プロテアソームサブユニットの転写を制御する機構の解明:哺乳類細胞を用いたsiRNAライブラリースクリーニングにより、誘導性発現を担うNrf1を活性化するプロテアアーゼDDI2を世界に先駆けて同定し、eLife誌に発表したことは当初の目標を前倒しする進展である。今後さらに解析を進めて、DDI2阻害剤探索によるプロテアソーム阻害剤との相乗的効果を狙った治療を目指した基礎的研究を行う。 2.プロテアソームの分子集合機構の解明とその病態生理的意義の理解:分子多様性の病態生理的意義に関して、胸腺プロテアソームの発現制御機構を解明するなど、重要な成果をあげており、極めて順調に研究が進行している。 3.プロテアソームの細胞内動態の解析:プロテアソームの局在制御については、siRNAスクリーニングの実施が完了し、特定の経路がプロテアソームの核局在を制御していることを明らかにすることに成功した。現在さらなる詳細な分子機構を解明中であり、目標に向けて順調に研究が進展している。またプロテアソーム会合因子PI31条件付き欠損マウスの各種マウスの作成に成功し、興味深い表現型が観察されており、今後1年で機能を明らかに出来ると考えている。 4.プロテアソーム機能低下により惹起される病態生理の解析:プロテアソーム機能低下時に細胞の生存に働く経路siRNAスクリーニングにより同定に成功した。この成果は抗がん剤としてのプロテアソーム阻害剤との相乗効果を狙った治療標的を明らかにするものであり、順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.プロテアソームサブユニットの転写を制御する機構の解明: Nrf1プロセシング酵素DDI2がNrf1特異的にプロテアソーム機能低下時にのみ働く分子メカニズムを明らかにするとともに、DDI2阻害剤探索のための評価系の構築を目指す。また、定常時のプロテアソームサブユニット群の転写を制御する因子を探索するためのスクリーニング系の構築にも成功しており、この評価系を用いてさらにプロテアソームの転写制御機構を明らかにする。 2.プロテアソームの分子集合機構の解明とその病態生理的意義の理解:ZsGreen-ODCの蛍光を指標としたsiRNAスクリーニングの最終ヒット10遺伝子が得られており、ここの遺伝子産物がどのような機序でプロテアソームの分解作用に影響を及ぼすのか、分子機構の解明を目指す。 3.プロテアソームの細胞内動態の解析:蛍光タグ付加プロテアソームサブユニットノックイン細胞を用いたsiRNAスクリーニングが完了し、プロテアソームの核局在を制御する有力分子が明らかになったところであり、分子機構探索のためのスクリーニングおよび生理的意義の解明を進めていく。 4.プロテアソーム機能低下により惹起される病態生理の解析:プロテアソーム機能低下時に細胞の生存を回復または悪化させることを指標としたsiRNAスクリーニングが完了し、プロテアソーム機能低下を代償する細胞内経路を明らかにしている。今後、この経路を標的としたプロテアソーム阻害剤との併用が癌治療に相乗的効果をもたらすかを検討していく。
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[Journal Article] Foxn1-β5t transcriptional axis controls CD8+ T-cell production in the thymus2017
Author(s)
Uddin, M.M., Ohigashi, I., Motosugi, R., Nakayama, T., Sakata, M., Hamazaki, J., Nishito, Y., Rode, I., Tanaka, K., Takemoto, T., Murata,S, and Takahama, Y.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 8
Pages: 14419
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] The aspartyl protease DDI2 activates Nrf1 to compensate for proteasome dysfunction2016
Author(s)
Koizumi, S., Irie, T., Hirayama, S., Sakurai, Y., Yashiroda, H., Naguro, I., Ichijo, H., Hamazaki, J., and Murata, S.
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Journal Title
eLife
Volume: 5
Pages: e18357
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Regulation mechanisms of the proteasome2016
Author(s)
Shigeo Murata
Organizer
Ubiquitin international symposium "Diverse functions of Ubiquitin : Degradation, Signaling, and Beyond"
Place of Presentation
京都大学(京都府京都市)
Year and Date
2016-12-06 – 2016-12-06
Int'l Joint Research / Invited
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