2013 Fiscal Year Annual Research Report
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25221105
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| Research Institution | Nagoya University |
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Principal Investigator |
松林 嘉克 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00313974)
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| Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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| Keywords | 糖鎖 / アラビノース |
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| Outline of Annual Research Achievements |
①マメ科植物の根粒数制御に関与するCLEペプチドの構造解明
マメ科植物は根粒菌と共生して根粒を形成することにより空中窒素固定を行なっているが，根粒の数は厳密に調節されている．この調節に関わる遺伝子としてCLE-RS遺伝子が同定されていたが，成熟型構造が分かっていなかった．我々は，活性型CLE-RS2ペプチドは13アミノ酸からなるアラビノシル化されたグリコペプチドであることを明らかにし，受容体と考えられていたHAR1に直接結合することも証明した．根粒数の化学的制御につながる成果であり，Nature Commun.に掲載された．
②ヒドロキシプロリン・アラビノシル化酵素の同定
ヒドロキシプロリン（Hyp）のアラビノシル化は，細胞壁中に含まれる糖タンパク質や一部のペプチドシグナルに見出される植物特異的な糖鎖付加修飾である．しかし，Hypにアラビノースを付加する酵素，Hyp O-arabinosyltransferase（HPAT）は，未だ同定されていなかった．我々は，シロイヌナズナ培養細胞の膜画分からHPATをアフィニティー精製し，ゴルジ体に存在する膜タンパク質であることを突き止めた．シロイヌナズナに3種類あるHPAT遺伝子を破壊すると，胚軸の徒長，細胞壁厚の顕著な減少，花成の促進，葉の老化の促進，および花粉管伸長の異常などが観察された．この成果はNature Chem. Biol.に掲載された．
③アラビノシル化ペプチドの化学合成
1,2-cis型グリコシドの合成に有効な立体特異的反応であるIntramolecular aglycon deliveryを応用して，アラビノシル化糖鎖修飾を受けたペプチドシグナル群の化学合成経路を確立した．天然からはごく微量しか得られないアラビノシル化ペプチドの生理機能解析が可能になった．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は，新しい機能を持つ短鎖ペプチドシグナルの探索や，既知因子の受容および細胞内情報伝達機構の解明を基軸としながら，翻訳後修飾やプロセシングのメカニズム，細胞外での分子動態などを解析し，翻訳後修飾ペプチドシグナルを介した植物形態形成の分子機構を明らかにすることを目的としている．平成25年度は，マメ科植物の根粒数制御に関与するCLEペプチドの構造解明（Nature Commun.に掲載）や，ヒドロキシプロリン・アラビノシル化酵素の同定に成功しており（Nature Chem. Biol.に掲載），ペプチドシグナルの探索および翻訳後修飾メカニズムの解明において，大きな前進があった．アラビノシル化ペプチドの化学合成も達成しており，今後の研究展開への貢献が十分に期待できる．
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| Strategy for Future Research Activity |
翻訳後修飾酵素の欠損株では，当該酵素の基質となっているすべてのペプチドの修飾が行なわれなくなるため，その表現型から未知の翻訳後修飾ペプチドシグナルの存在を知ることができる．これまでに同定した翻訳後修飾酵素の欠損株の表現型を手がかりに，新しいペプチドシグナルの探索を試みる．また我々は，既知の短鎖翻訳後修飾ペプチドシグナルの前駆体ペプチドの構造的特徴（分泌型シグナル配列を持っており，C末端付近の成熟型ペプチド領域のみが進化の過程で選択圧を受けるためにファミリー内で配列保存されており，ジスルフィド結合をつくりうるシステイン残基を含まない，等）や植物界における保存性に基づき，シロイヌナズナゲノムから複数の新規ペプチドシグナル候補遺伝子群を抽出している．加えて，受容体同定を迅速化するため，細胞外領域が400アミノ酸以上（リガンド認識に十分なサイズ）のシロイヌナズナ受容体キナーゼ約200種類をタバコBY-2細胞を用いて発現させ，ライブラリー化している．これらを組み合わせて新しいペプチドシグナル・受容体ペアを見つけ出し，その生理機能を探っていく．
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