2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25221106
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
深川 竜郎 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60321600)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | セントロメア / 染色体分配 / 細胞分裂 / エピジェネティックス / タンパク質複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 染色体工学を活用したセントロメアの形成機構の解明 26年度までの研究で、培養細胞中で新規セントロメア (ネオセントロメア) を作出する実験系を確立し、26年度は、この実験系を活用してセントロメアに特異的なエピジェネティックマーカーを見いだし、このH4K20me1化が動原体形成にも必須であることも示した。また、LacO-LacIの系でセントロメアが誘導できることも明らかにした。27年度は、これらの研究をベースに、CENP-C及びCENP-Tによる動原体形成における2 pathway modelを提唱して、その機構を解明する研究を行った。 2. セントロメア構成タンパク質の試験管内再構成 CENP-H複合体は、我々が世界に先駆けて同定した複合体であり、CENP-H, -I, -K, -L, -M, -Nなどのタンパク質を含むが、その機能に不明な点が多い。試験管内でこの6タンパク質を発現させても複合体を精製するには至っていないが、研究を進めるうちにCENP-Lと-Nがヘテロ2量体を形成することがわかってきて、CENP-L-Nヘテロ2量体の精製には成功した。また、意外にもCENP-L-Nヘテロ2量体とCENP-Cとの複合体が再構成することに成功した (Nagpal et al. Mol. Bio. Cell, 2015)。この成果は、より大きな複合体の再構成への大きな手がかりとなる。 3. セントロメアタンパク質複合体の原子レベルでの基盤構造の解明 CENP-H複合体のCENP-L/NとCENP-Cの結合状態についてNMR解析を行い、CENP-Cの結合部位が同定できた。この解析では、CENP-Cの166-224アミノ酸領域が間期特異的にCENP-L/Nと結合することを見出し、その結合は、細胞分裂期には失われることも明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
セントロメアに特異的なエピジェネティックマーカーの同定は、大変挑戦的な計画であったが、昨年、H4K20me1化の同定に成功し、これが動原体形成に重要であることを示めせた。それに加えて、更なるエピジェネティックマーカーも同定できており。予想以上の進展である。この系をベースにセントロメア形成機構の理解が加速的に進み、当初の計画以上であると自己評価している。他の計画についても、順調に進展しており、今年度から電子顕微鏡や1分子顕微鏡観察も導入している。それらを再構成系の実験に適用して、今後の2年間でその成果をあげる目処もついている。それぞれの計画を総合的に判断すると、当初の計画以上の進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究は、順調に推進できているので、基本的には、引き続き研究計画に沿って研究を推進する。再構成タンパク質に関しては、X線結晶構造解析に加え、電子顕微鏡や、NMRなど多角的な方法を、今後も取りいれる。タンパク質再構成の評価として、1分子顕微鏡観察の導入を開始したが、より具体的な測定も行う。
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