2014 Fiscal Year Annual Research Report
ロイヤル・エピジェネティクス:社会性昆虫の超長寿化の分子基盤
Project/Area Number |
25221206
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松浦 健二 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40379821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌倉 昌樹 富山県立大学, 工学部, 講師 (60363876)
ミケェエヴ アレクサンダー 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 准教授 (90601162)
井内 良仁 山口大学, 農学部, 准教授 (60272069)
|
Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
|
Keywords | 社会性昆虫 / 寿命 / ゲノム / 単為生殖 / ロイヤラクチン / メタボローム / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
RNA-seqにより、ヤマトシロアリのカースト間、性間および年齢間で有意に発現量の異なる遺伝子を多数明らかにすることが出来た。特に複数の化学受容体遺伝子の発現に顕著なカースト特異性と年齢間差が認められた。シロアリの女王の年齢間で卵門の数が異なることで、老齢の女王は無卵門の卵を産み、それが単為発生することで単為生殖による女王継承が行われていることを明らかにした。この研究はPNASに掲載され、Nature誌でも紹介されるなど、国際的な注目を集めた。 長寿命で知られるヤマトシロアリ生殖虫の寿命戦略について抗酸化システムから検討した。まず本種の持つ抗酸化物質について検討したところ、他の短寿命の昆虫種に比べて尿酸含有量が顕著に高く、その尿酸が積極的に長寿命に関与する可能性を示唆するデータを得た。さらにメタボローム解析により、本種が生息すると考えられる低酸素環境では呼吸を抑制することで活性酸素産生を抑制していることが明らかになった。 線虫やショウジョウバエなどでは、エピジェネティックなクロマチン修飾を介したヘテロクロマチン化が寿命に影響を及ぼすことが報告されている。本年度新たにミツバチ(女王蜂と働き蜂)のクロマチン修飾の違いを組織化学的に解析できる方法を確立し、この方法を用いて女王蜂と働き蜂におけるクロマチン修飾の違いを解析した。その結果、ヘテロクロマチン化に関与するヒストン修飾の変化が働き蜂に比べ女王蜂で増加していた。これらの結果から、女王蜂では働き蜂に比べクロマチン修飾を介したヘテロクロマチン化が進行し、これが女王蜂の長寿命化に関与している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNA-seqによりヤマトシロアリのカースト間、性間および年齢間で有意に発現量の異なる遺伝子を多数明らかにすることが出来たため、今後のリアルタイムPCRでさらに寿命関連遺伝子の解析を進めることができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヤマトシロアリのゲノムサイズが大きく、アセンブル作業に想定以上の困難を伴っており、複数の方法を同時並行で実行するなど改善を図る。
|