2014 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経回路の障害と修復を制御する生体システムの統合的研究
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25221309
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 俊英 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10301269)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 中枢神経 / 再生医学 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
「免疫系細胞による神経回路障害と修復の制御機構の解明」というテーマに関しては、以下のような結果を得た。グリア細胞などに発現する軸索再生阻害因子は、成体の神経回路の安定性を保つ役割を担う。特にRGMという因子は強い軸索伸展阻害作用をもち、中枢神経障害後にこの因子の機能を抑制することで、中枢神経回路の修復を促進することができる。一方でRGMは、自己免疫性脳脊髄炎の発症および寛解過程において、免疫系を制御する役割を担っている。すなわちRGMは樹状細胞によるT cellsの活性化に必須であり、抗RGM中和抗体の投与によって脳脊髄炎の発症が抑制される。当該年度においては、脳脊髄炎病態下で、Th17細胞に発現するRGMが神経変性を誘導することを明らかにし、論文報告した。一方で我々は、RGMが血管内皮細胞にも働きかけることを見いだした。RGMはin vitroで血管内皮細胞の管腔形成を抑制する。さらにin vivoの新生血管形成モデルを用いた実験においても、RGMは新生血管の形成を抑制することがわかった。さらにミクログリアおよびマクロファージの役割についても研究を進めており、それらの細胞が神経回路障害と修復に深く関与していることがわかってきている。 「脈管系細胞による神経回路障害と修復の制御機構の解明」というテーマに関しては、prostacyclinなどの因子が、髄鞘形成を促進するなどの結果を得た。特に髄鞘形成に関与する複数の因子を同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「免疫系細胞による神経回路障害と修復の制御機構の解明」および「脈管系細胞による神経回路障害と修復の制御機構の解明」について、その分子メカニズムを明らかにする研究が予定通りに進捗した。今後は、さらに研究を進めることによって、新しい概念を構築していきたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を土台として、さらに研究を進めることで、新たな概念の構築に至る。また平成28年度からは、「病態形成と回復期における生体の反応の機序の解明」もテーマに加えて、全体像を探る研究も開始する予定である。これまでの成果をまとめて、生体反応のダイナミクスの解明に至ることを到達目標とする。
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Research Products
(12 results)