2014 Fiscal Year Annual Research Report
建築・都市分野における離散数理基盤の構築と大規模最適化への展開
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25240004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 直樹 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40145826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 直之 九州大学, マス・フォア・インダストリ 研究所, 准教授 (10548134)
谷川 眞一 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (30623540)
藤澤 克樹 九州大学, マス・フォア・インダストリ 研究所, 教授 (40303854)
瀧澤 重志 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40304133)
山川 誠 東京電機大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50378816)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 最速フロー問題 / 組合せ剛性理論 / 大域剛性 / 避難所配置問題 / 動的ネットワークフロー / ブレース追加問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
避難計画に関係する有向木詰込み問題の理論的成果として、有向木ゲームにおける仁の計算や時刻ラベルをもつ変種に関する成果を得ることができた。また,動的ネットワークに対して,パス上の避難完了時間および総避難時間を最小化する複数施設配置を扱った研究をおこない,多項式時間アルゴリズムを開発した. 動的ネットワークフローを用いた避難計画問題の研究に関して、アルゴリズムの改良や実装上の工夫によって、大阪市(1.3万点, 4.0万枝, 歩行速度 1m/s, 時間拡大1秒)の規模での計算が可能となった。 また避難計画モデルの応用として、梅田地下街の3Dモデルをベースとして、接続ビルのフロアプラン等のモデル化を行うとともに、夕方の歩行者の実測を行った。構築されたデータを用いて接続ビルへの垂直避難のマルチエージェントシミュレーションを行い、避難時間や滞留傾向を把握した。さらに,地下街出入り口への最速フローによる避難計画を行い,その有効性を確認した. また避難所割当て問題に対し,移動距離と収容率を最小するパレート解列挙手法の開発を行い,大阪市住吉区を対象として実験を行った. 組合せ剛性理論の研究に関しては、ユークリット空間での剛性と球面での剛性の等価性に着目し、d次元剛性とd+1次元剛性を補完する剛性概念を導入し、Lamanの2次元剛性定理の拡張を行った。また昨年度開発した大域剛性解析手法を利用して、剛体ヒンジ構造の大域剛性の組合せ的特徴づけを証明した。具体的には、Connelly-Jordan-Whiteleyによって予想された十分条件が実は必要十分条件として成立することを証明した。極小剛なpanel-hingeグラフの演繹的な生成手法を開発し,これをもとに,建築への応用を目的とした形態生成手法の開発を行った.さらに,2次元グリッドフレームワークを剛にするブレース追加問題に対し,フレームワークの形状に関して従来成果を一般化することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的な理由としては,多くの論文出版および研究発表を行っていることが挙げられる. 動的ネットワークフローを用いた避難計画問題の研究に関しては、我々の手法で実際の大規模都市データに対する解析が可能であることが確認された。また避難シミュレーションについても、大阪市梅田地下街の浸水避難計画に対するデータ構築と幾つかの基本的シミュレーション実験が完了し、より複雑な実験および解析の準備が整った段階である。 避難所配置問題に対しては,理論的な研究成果,現実のデータを用いた計算機実験をおこなうなど,多面的なアプローチによる成果を得ている. 組合せ剛性理論の研究に関しては、d次元剛性とd+1次元剛性を補完する剛性概念を導入することで、3次元剛性問題への手がかりを得ることが出来た。また昨年度提案した大域剛性解析手法の有用性を剛体ヒンジ構造を通して確認することが出来た。 また,panel-hingeグラフ列挙,形態生成への応用,ブレース追加問題など,多面的に組合せ剛性理論の研究を展開することができた.このように、研究は順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
普遍的最速フロー問題に対するソフトウェアの高速化を行う。すでに大規模ネットワーク(778 万点、3087 万枝) に対する最速フローの計算に成功しているが、全体の実行時間の中で最大フローの計算が大部分を占めている。最大フローの高速化は一般的には難しいとされているが、アルゴリズムの改良による並列化とネットワークデータのスパース性を活用したデータ構造の開発によって、最大フロー及び最速フロー問題に対する大幅な実行の時間の短縮を達成する。 梅田地下街の浸水避難計画の研究では,最速フローなどの垂直避難計画への適用を行う。また断面交通量の推定手法を精緻化して実用可能なレベルを目指すとともに、シミュレーションと統計モデルを融合した避難完了時間の推定手法に関する検討を行う。避難所割り当ての研究では、パレート解のうち非サポート解の列挙手法の開発を目指す。
組合せ剛性の研究では、剛体ヒンジ構造の大域剛性の特徴づけで得られた知見を基礎に、分子フレームワークの3次元大域剛性の特徴づけ問題に取り組む。Connelly-Jordan-Whiteleyは剛体ヒンジ構造と同様の組合せ的条件が分子フレームワークの大域剛性を特徴づけることを予想している。今後はこの予想の解決に向け分子フレームワークの剛性冗長性の特徴づけを与え、既存の大域剛性解析手法の適用を試みる。穴のある2次元グリッドフレームワークにブレース集合が与えられたとき,そのフレームワークが剛であるかどうかを判定する組合せ的手法の開発を試みる.また,組合せ剛性理論の建築デザインへの応用もさらに進めていく.
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Research Products
(38 results)
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[Journal Article] Optimally Bracing Grid Frameworks with Holes2014
Author(s)
Y. Ito, Y. Kobayashi, Y. Higashikawa, N. Katoh, Sheng-Hung Poon and Maria Saumell
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Journal Title
Proceedings of the 8th Annual International Conference on Combinatorial Optimization and Applications, Lecture Notes in Computer Science
Volume: 8881
Pages: 474-489
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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