2015 Fiscal Year Annual Research Report
自立給電型ワイヤレスセンサLSIを用いた実世界情報収集システムの研究
Project/Area Number |
25240010
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
市川 晴久 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80463959)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川喜田 佑介 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (30468540)
三次 仁 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (40383921)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ユビキタスネットワーク / ワイヤレスセンサ / 自立給電 / IoT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自立給電型RFセンサLSIを大量配置して実世界情報を収集するシステムの実現を目指している。本研究の目的は、自立給電型RFセンサの極限的な回路省電力化に伴う特性上の課題をネットワーク側で解決し、大量のRFセンサを使いこなせるようにすることである。当初計画の研究項目を3項目に統合し、下記の成果を得た。 (1)自立給電型RFセンサLSIを用いる実世界情報センシングシステムの開発、及びRFセンサ集団による統合的センシング機能の実現:振動センサ信号をアナログ多重無線伝送する方式を考案・実装し、信号干渉要因を明らかにし、多重度の拡大、実証に見通しをつけ、実証実験を準備した。(国際会議2件、査読付き論文1件) (2)RFセンサ通信・評価・スクリーニング技術:無線信号検出について、信号スペクトル劣化、ノイズ情報不足環境下での高精度検出、信号サンプリング点から信号解析部へのデータ転送量削減について研究成果を得た。また、上記(1)への適用を目的とし、キャリア信号のセンサへの割り当て、干渉検出・干渉区間推定などの問題について研究成果を得た。さらに、これらの技術を十分なデータと処理時間をかけて適用できるように、電波空間情報を蓄積、再生、解析処理するシステムをオープンシステム上に構築する技術を開発した。研究成果は、査読付き論文、国際会議論文に発表した。(国際会議4件、査読付き論文2件、国内口頭発表4件) (3)実世界情報センシング:BLEのモノ探しへの適用を想定し、BLEからの受信信号強度受信履歴(RSSI系列)によるBLE間近接関係推定結果の評価法、及びRSSI系列間距離尺度について研究成果を国際会議で発表した。普及型SDRを用いた複素モノパルスに基づく方向検知の基本原理を考案し、実験とシミュレーションでその効果を検証した。 (国際会議2件、国内口頭発表4件)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)自立給電型RFセンサLSIを用いる実世界情報センシングシステムの開発、及びRFセンサ集団による統合的センシング機能の実現: 社会的需要が大きい、土木構造物・産業機械などの多点振動試験への適用を想定するRFセンサ・アナログ多重無線通信方式は査読付き論文1件、国際会議2件に採択された。このことは、ネットワーク側での計算処理により、RFセンサが送信する情報をくまなく活用する方式の可能性を示すものであり、並行して研究中のモノ探しシステムを含め、さらなる用途開発の可能性を示している。 (2)RFセンサ通信・評価・スクリーニング技術: 大量かつ超低消費電力のRFセンサを用いることを目指し、多様な未知の通信方式を用いるRFセンサが登場する状況に対処するための課題を整理して要素技術を研究し、論文成果を出すことによって、信号検出の速度・精度、所要電波空間データ量などの間のトレードオフの関係を解決する技術群が存在することが見えてきた。コグニティブ無線で知られる分野の技術に学びつつも新たな地平を拓く学術成果蓄積の道が見えてきた。 (3)実世界情報センシング: RFセンサ測位は多くの研究者の関心を集めて技術蓄積がなされているが、設備投資と調整に大きなコストがかかるなどの問題があり、用途は限定されたままになってきた。一方、スマートフォンと連携するBLEタグの登場は、アクティブ無線タグにとって大きなステップとなる可能性が高い。BLEの位置に係ってアプリケーションの観点から有用な情報を、RSSI履歴情報をクラスタリングして抽出するアプローチが論文成果となってきた。このことは物理レイヤからアプリケーションまで垂直的な解析の有効性を示し、本研究が提案する実世界情報収集システムの構成指針を与えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)自立給電型RFセンサLSIを用いる実世界情報センシングシステムの開発、及びRFセンサ集団による統合的センシング機能の実現: BLEタグについて、スマートフォンなどの普及を促進する基盤技術による実装を試み、BLEタグ以外の信号源も考慮して、実用化に必要な技術課題を明らかにする。本研究のうち、パッシブ給電部分および多元接続に関する要素研究は、本研究から切り離し総務省SCOPEにて実用化に向け発展させる。 (2)RFセンサ通信・評価・スクリーニング技術: 信号検出・無線規格識別・ソフトウェア無線機起動に関する要素技術の性能向上を図るとともに、これらを統合するシステム実現のために解決すべき技術課題を検討する。これまでに開発した信号検出技術について、より現実的な適用を想定して、技術の前提条件をレビューし、さらなる技術向上を図る。無線規格識別については、無線信号特徴量と規格識別機能の関係について検討を深める。 (3)実世界情報センシング:RFタグの近接関係推定システムを設計し、H27年度に調達したツールを用いてシミュレータを構築し、RSSIを採取する受信機の移動パターン、電波伝搬環境などの影響を系統的に実験評価し、これまで得ている技術の性能と課題を明確化し、技術改善する。
|
Research Products
(19 results)