2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25240020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 和生 京都大学, 文学研究科, 教授 (80183101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 昭二 京都大学, 文学研究科, 教授 (50211735)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 比較認知心理学 / メタ認知 / 思考 / 他者理解 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、意識や内省と呼ばれる心の内部に対する再帰的で能動的なアクセス-認知的メタプロセス-の進化と発達を、広い系統群の動物を対象に分析するとともに、認知的メタプロセスが、知識の不備の解消や思考過程の支援などの自己適応の向上、および他者理解機能にいかに関連しているのかを明らかにすることである。平成26年度には、以下のような事実を明らかにした。1)報酬探索課題を用いて、齧歯類(ハムスター、デグー)とコンパニオンアニマル(ネコ、ウマ)の偶発的記憶を検討した。その結果、齧歯類では明瞭な結果が得られなかったが、ネコでは一度限りの経験を想起して、自身の採餌活動を最適化できることが示された。ウマの実験は現在継続中である。2)エピソード記憶の特徴である出来事の内容と場所と文脈を統合した記憶をデグーが持ちうるかを検討し、やや弱いが肯定的な結果を得た。3)幼児を対象に、将来の認知的状態を見越して、現在の行動を調整できるかを検討し、肯定的な結果を得た。4)フサオマキザルを対象に記憶内容の詳細をメタ認知できるかどうかの検討をおこなった。特定の内容に対する報酬率を操作して、それに対して適応的な課題選択ができるかを検討した。現在まだ継続中である。5)ハトを対象に、展望記憶に関する検討を開始した。6)他者理解については、観察した他者の行動を利用して、自己の適応的行動を導けるかをイヌとネコを対象に実施した。イヌでは自己経験を持つことが、これを促進することがわかった。7)自身の利益に関係のない第三者間のやり取りを、イヌが感情的に評価し、援助要請に応えないものを嫌悪することが分かった。8)関連するより基礎的資料として、ハトを対象に、両眼像の融合、要素運動の統合などを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実績概要欄に記載の通り、多様な動物種を対象に、当初の目標を上回るほど着実に実験データが上がってきており、多少の手法的洗練が必要なものもあるが、より広い種比較に向けて、見通しは非常に明るい。
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Strategy for Future Research Activity |
進行中の実験を、必要に応じて実験手続きに修正を加えて完了させる。偶発的記憶をテストする報酬探索課題をニワトリとオカメインコ、ならびに霊長類、幼児に対して拡張したい。出来事の内容、場所、文脈を統合したエピソード記憶を齧歯類のデグーが持ちうることを示唆する結果を得たが、これをさらに確実な証拠へと高め、鳥類、霊長類にも拡張したい。幼児が将来の認知的状態を見越して現在の行動を調整できることを示唆する結果を得たが、漠然とした不安を手がかりにしていないことを確認することが必要である。ハトを対象に解した予見的記憶に関する検討を、手続きを調整しながら継続する。他者の行動理解とその適応的利用に関しておこなった予備的検討を、方法的洗練を加えて、乳幼児、齧歯類にも拡張して実施する。また第3者のやり取りに関する感情的評価の可能性をネコに拡張する。認知的メタプロセスと自己適応の関係を分析するため、自己制御能力と、そのメタ認知による実際の自己制御課題における予見的選択との関係を、フサオマキザルを対象に検討するとともに、乳幼児にも拡張したい。最終年度であるので研究を総括した上で、成果を着実に論文化し国際誌に投稿する。7月の日本霊長類学会、8月のInternational Ethological Conference、9月の動物心理学会大会、日本心理学会大会等で、関連した研究発表をおこなう。
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Research Products
(31 results)
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[Journal Article] The evolution of self-control2014
Author(s)
MacLean, E. L., Hare, B., Nunna, C. L.他(59人中24番目)
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Journal Title
Proceedings from the National Academy of Sciences, U.S.A.
Volume: 111
Pages: E2140-E2148
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Can children with Autism read emotions from the eyes? The Eye Test revisited.2014
Author(s)
Franco, F., Itakura, S., Pomorska, K., Abramowski, A., Nikaido, K., & Dimitriou, D.
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Journal Title
Research in Developmental Disability
Volume: 35
Pages: 1015-1026
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Universal ontogeny: attentive tracking of objects and substances across languages and over development.2014
Author(s)
Cacchione, T., Indino, M., Fujita, K., Itakura, S., Matsuno, T., Shuwab, S., & Amici, F.
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Journal Title
International Journal of Developmental Psychology
Volume: 38
Pages: 481-486
DOI
Peer Reviewed
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