2013 Fiscal Year Annual Research Report
経験・信頼に基づく知識活用型サービスバリューチェーンの実証研究
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25240050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 良憲 京都大学, 経営管理大学院, 教授 (20437297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 克己 京都大学, 情報学研究科, 教授 (00127375)
戸谷 圭子 同志社大学, ビジネス研究科, 准教授 (20350308)
竹村 幸祐 京都大学, 経営管理大学院, 特定助教 (20595805)
鈴木 智子 京都大学, 経営管理大学院, 特定講師 (20621759)
前川 佳一 京都大学, 経営管理大学院, 特定准教授 (30511290)
山内 裕 京都大学, 経営管理大学院, 講師 (50596252)
神田 陽治 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (80417261)
山川 義徳 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所(マネジメントイノベーションセンター), マネジメントイノベーションセンター, 研究員 (80447945)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サービスマネジメント / サービスバリューチェーン / サービス情報学 / 経験価値 / 信頼価値 / ハイコンテクスト / 脳科学評価 / データマイニング |
Research Abstract |
初年度は、価値創造においては、発信者の信頼感と利用者の経験・体験とが重要な役割を果たしていると考えられることから、第一段階として、インターネット上での氾濫する情報の一部が、如何にして信憑性を得るかの従来研究を整理、確認した。その上で、経験・体験の価値を形式化するため、従来の名詞キーワード中心の検索技術ではなく、○○を××したいといった動詞中心、タスク中心の検索技術による方式の研究開発を進めた。また、SNSデータを使って、新サービスや新商品の探索・経験・信頼価値の割合変化を測る手法の開発(リアルタイムにTwitterのツイートを取得・蓄積)と、宿泊プランやレビュー情報を使って、ホテル予約ポータルサイトの探索・経験・信頼価値をモデル化・管理する手法の開発を開始した。具体的には、ポータル上でのプランを探索する時間の最小化を探索価値と捉え、ポータル利用者全体が探索に費やす総時間を最小化する問題を、数理計画法を用いて定式化した。 一方、対人サービスにおける「経験・信頼価値」については、サービス提供者と利用者とのやりとりが行われる環境的なコンテクスト(文脈)がその真の価値を決定づける。このため、一例として江戸前鮨の事例研究を行い、職人(サービス提供者)と顧客とがコンテクストを共有する上でのプロセスを明らかにした。また、文化に根差したサービスの観点から、対人サービスにおける「経験・信頼価値」との関係について概念を整理した。 さらに、「経験・信頼価値」の形式化に向けて、脳科学的評価とデータベース化への道筋をつけるため、現状の脳科学的評価の整理、脳計測を通じた実験デザインのイメージについての調査、開発を進めた。具体的には、特徴量の整理を行い、MRIを用いて信頼に関連する脳領域についての調査・分析を進めた。今後は、脳活動と心理指標との相関分析を行い、簡便な利用が行える手法へと研究活動を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の研究活動は、5拠点の大学・企業研究機関関係者で行っているが、定例会議、研究会、遠隔会議システム等により、目的意識、課題認識を共有して、研究活動を遂行している。(平成26年度は、研究分担者の異動等により、7拠点へとさらに分散化が進むが、連絡を密にとって研究活動を進めていく。)このように、コミュニケーションを密にとって活動を進めており、おおむね順調に進展しているといえる。 本年度は初年度であったため、「経験・信頼価値」という抽象的な概念の共通認識を重点におき、まずは、進展しているITサービス系の活動を先行させ、その知見を、対人サービス系の活動にもフィードバックさせるというアプローチを実行した。 また、脳科学的情報とリンクした「経験・信頼価値」の評価は、挑戦的な研究課題である。具体的事例と連動したPDCAサイクルによる検証を行い、研究が進展できるようなアプローチ方法をとる。このような適切なマイルストンの設定と実行も重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、サービスの価値創造、およびその維持・拡大の理論体系の構築を目的とする。価値創造においては、発信者への信頼感が重要な役割を果たしていると考えられる。まず、インターネット上での「信頼・経験価値」を明らかにし、次に、実証分析をふまえて、対人サービスにおける価値ある情報の発信や、顧客からの信頼獲得方法を明らかにし、サービス価値創造に関する仕組みの構築を図る。平成26年度の研究では、下記の2つの項目に関する活動を遂行する。 (1)情報の高品質化手法とサービスの高品質化手法 実ビジネスを通じて経験する人の振る舞いや、コミュニティの交流関係性データに着目し、データマイニングを行うことで、経験・信頼価値への影響要因を分析する。データマイニングによる集団行動の分析については、自動分類や強化学習などの手法を取り入れ、情報・サービスの高品質化方法論の構築を進める。経験・信頼価値の動的側面にも着目し、利用者の事前期待、サービス実績、利用回数、学習しやすさの程度等を考慮する。また、アンケート等の定性分析で得られる解釈と、データマイニングによる集団行動の分析結果とをクロスリンクさせる。データマイニングで発見した集団行動特性を解釈に対応付けたり、解釈から判断の根拠となるデータへと遡ることができたりする仕組みを構築する。 (2)情報の高品質化手法とサービスの高品質化手法 他者に対する信頼促進メカニズムの文化差に関する更なる究明を軸に、多岐に渡る消費者心理・行動傾向に対する文化的影響をリアルとネットの両方の世界で分析する。リアルとネットで文化的影響の強さの異なる消費者心理・行動のタイプを同定し、グローバル化を視野に入れた経験・信頼価値創出のための基礎理論を構築する。ハイコンテクストサービス(多くの情報が明示化されていないサービス)を対象に、ハイコンテクスト性と信頼における文化差の関係分析を行う。
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Research Products
(41 results)