2014 Fiscal Year Annual Research Report
担持型酸化触媒による臭素系難燃剤の分解に及ぼす腐植物質の影響
Project/Area Number |
25241017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福嶋 正巳 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40344113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 正秀 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究グループリーダー (60357126)
倉光 英樹 富山大学, その他の研究科, 教授 (70397165)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境材料 / 生体機能利用 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 触媒・化学プロセス / 超分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄ポルフィリン触媒の自己分解の活性低下の抑制とブロモフェノール類の酸化に対する触媒活性の向上を目的として、鉄ポルフィリン触媒を層状粘土鉱物層間にインターカレーションさせた担持型触媒、鉄ポルフィリンおよび鉄フタロシアニン触媒をシリカ表面へ配位結合により担持した触媒を合成した。これら触媒の中で、鉄フタロシアニン触媒を担持したものが、処分場浸出水中の夾雑物である腐植物質が共存した条件で最も高い活性を示したが、ブロモフェノール類をCO2にまで無機化するには至らなかった。また、鉄ポルフィリンにシクロデキストリンを添加し、包接錯体を形成することにより触媒の自己分解を抑制し、腐植物質共存下でもブロモフェノール酸化に対する高い活性を示したが、これでもCO2まで無機化するには至らなかった。しかし、シリカをコーティングしたマグネタイト表面にイオン液体を修飾し、鉄ポルフィリン触媒を導入した担持型触媒は、高活性でブロモフェノール類を50パーセントではあるがCO2にまで無機化することができた。 一方、腐植物質が共存すると副反応としてブロモフェノール類の酸化中間体が腐植物質へラジカルカップリングし、複合体を生成することを明らかにした。この複合体の毒性は親物質であるブロモフェノールより低いと考えられるが、エーテル結合などを介しているため、処分場の高温(50 - 60度)、アルカリ条件(pH 9程度)で加水分解などにより、ブロモフェノール類が再溶出する可能性がある。そこで、反応液からブロモフェノール-腐植物質複合体の分離を行い、その安定性を50度、pH 9の条件で評価した。その結果、複合体中のブロモフェノールの約20パーセントが疎水的に緩く結合しており、処分場のような弱アルカリ条件下では再溶出するリスクを含んでいることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
イオン液体を導入した担持型触媒を合成することにより、目標としていたCO2への無機化を50パーセント程度であるが、達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄ポルフィリンのようなヘム系触媒だけではなく、非ヘム触媒についても検討を行い、ブロモフェノール類のCO2までの無機化を図る。鉄ポルフィリン触媒に比べ鉄フタロシアニン触媒の活性が高いので、鉄フタロシアニン触媒の担持型触媒についても検討を進める。
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