2016 Fiscal Year Annual Research Report
The role of long seed dispersal by large mammals in maintaining biological diversity of forests
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25241026
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
正木 隆 国立研究開発法人森林総合研究所, 森林植生研究領域, 領域長 (60353851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 賢 国立研究開発法人森林総合研究所, 樹木分子遺伝研究領域, 主任研究員 (10353658)
小池 伸介 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40514865)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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Keywords | 長距離散布 / 大型哺乳類 / 遺伝子流動 / カスミザクラ / ウワミズザクラ |
Outline of Annual Research Achievements |
大型・中型哺乳類の生息する足尾での各種動物(ツキノワグマ、テン、ニホンザル)、及びそれらが100年以上不在となっている北茨城での鳥類によるサクラ類の散布距離を推定した結果、ツキノワグマ>サル>テン>鳥類の順であった。このように大型哺乳類の長距離種子散布者としての機能が明らかとなり、仮説が支持される結果となった。具体的には各動物に摂取されたカスミザクラ及びウワミズザクラ種子のうち、種子源から100 m以上離れた場所に散布された割合の推定値は、ツキノワグマで88.0%、ニホンザルで81.7%、テンでは78.9%だったのに対し、鳥類では66.8%であった。一方、各調査地域における対象樹木の散布種子と成木集団のジェノタイピングをおこない空間遺伝構造を解析した結果、ツキノワグマの在・不在はヤマザクラ・カスミザクラ・ウワミズザクラ集団の遺伝構造に影響を及ぼしておらず、むしろクマが存在するサイトでは予想に反してウワミズザクラの空間遺伝構造が強まる傾向がみられた。これは、散布動物による遺伝子流動の空間スケールの差異だけではなく、花粉散布による遺伝的流動の効果も合わさった結果であると考えられる。前年度までの酸素同位体による分析ではカスミザクラ種子がツキノワグマによって標高の高い方向へ偏って散布されていることが明らかにされているが、この結果も含めて総合的に考察すると、樹木の遺伝的流動や遺伝的多様性に対する大型哺乳類による長距離種子散布の寄与は必ずしも大きくなく、むしろ気候変動の負の影響から逃れうる場所への樹木の移動・定着の面での貢献度が高い可能性が考えられる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(12 results)