2014 Fiscal Year Annual Research Report
SC途絶リスクマネジメントの方法論およびシステム構築に関する研究
Project/Area Number |
25242031
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松川 弘明 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30242275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 冠 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科, 教授 (10394454)
鈴木 定省 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (50323811)
中島 健一 神奈川大学, 工学部, 教授 (80278564)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経営工学 / サプライチェーンマネジメント / リスクマネジメント / 途絶リスク / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)PC版およびスマホ版SCVSを構築し,SC途絶実験を行い,見える化システムの有効性を確認し,途絶企業だけではなくSC上のすべての企業にメリットがあることを発見した.また,Textminingツールの信頼度および共起ルール数を用いてResiliance3階層モデルを構築し,これをベースとして具体的なResiliance強化策を考案する方法論を提案した.SC途絶を考慮したEppen-Martin安全在庫モデルを拡張し,Backup Supplierを活用した安全在庫の計算方法を提案した.さらに,途絶リスクによる被害を軽減するために,最適Option価格決定モデルを構築した.(2)SC途絶リスクにおける生産回復と在庫の変化についてシミュレーションモデルを構築し,東日本大震災における自動車生産の推移データを用いてモデルの検証を行った.自動車Supplierのインタビューの結果,大規模災害の場合,在庫を多く持たない方がSC全体の生産回復も早いという経験則があることが分かった.そこでそれを理論的に実証するための数学モデルを開発した.この結果,製品の付加価値と在庫コストの関係を踏まえた上で,SC途絶リスクに関して適切な在庫量について知見が得られた.(3)持続可能な生産・物流システムの重要要因となるSCのリスク,およびその対策に関するマネジメントシステムの提案を行った.ここでは,システムの不確実性を考慮し,従来型の発生した問題への事後処理ではなく,事前にリスクを予測し対策を講じる先手管理型マネジメントシステムのフレームワークの提唱を行った.(4)SCの弾性力強化について,SC内のものの流れや作業環境,戦略の在り方に着目し,これらがSCのパフォーマンスに与える影響の検証を数理モデル,シミュレーションならびに企業からの実データといった観点から多角的に行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初1つの基盤(SCVS),4本の柱でサプライチェーン途絶マネジメントの方法論を構築することを考えており,現在SCVSはひな形が完成し一部実験も行い,有効性も検証したこと.4本の柱のなかで,(1)リスク構造について文献レビューを用いた3段階モデル,およびテキストマイニングを用いたリスク構造モデルを提案し,一部の成果はすでに学術論文として公表されていること.(2)レジリエンス強化についてはテキストマイニングを用いた3段階構造モデルの構築をベースとした方法論を提案し,学術論文として投稿し,掲載が決まっていること.(3)ロバストSC構築については,Gravesらの研究を拡張し,2社購買を前提とした最適Configurationモデルを構築し,最適解を求める方法を考案し,一部の成果を学術論文にまとめすでに公表していること.(4)安全在庫についてあEppen-Martinモデルを拡張し,Backup Supplierを取り入れた新しい安全在庫の計算方法を提案し,現在学術論文を執筆中であること.この研究はほぼ全面的に当初の最低目標を達成しており,今後はより価値のある知見の発見と学術論文の執筆,そして企業の現場で実用できるようにすることが今後の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は質的向上を目指し,SCVSについては実用化実験を行い,中堅企業,中小企業への提案を行うと同時に,国際交流と展開にも徐々に力を入れていく.リスクドライバーとその構造については,特定産業または企業に対してテキストマイニングと創造的発想を組み合わせた分析を実施し,レジリエンス強化策と合わせて事業継続マネジメントの事例研究を行う.また,レジリエンスについてはレジリエンススコアカードを開発しており,今年度はパイロット分析を行う予定である.途絶に強いサプライチェーンを構築するためには,新製品開発段階において部品の供給を考慮しなければならないので,途絶リスクを考慮した設計思想についても調査を行い,社会のニーズに合わせて研究範囲を拡張する.安全在庫については途絶を考慮し,配置場所も考慮した安全在庫の計算方法を多面的に考察し,体系的にまとめ,研究成果を積極的に学術論文にまとめ,発表を行う.
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