2013 Fiscal Year Annual Research Report
平成23年台風12号豪雨災害情報に基づいた実効ある防災・減災対策の構築
Project/Area Number |
25242037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
江種 伸之 和歌山大学, システム工学部, 教授 (00283961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
満田 成紀 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (10283954)
小川 宏樹 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (20425375)
林 和幸 和歌山工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (30587853)
藤垣 元治 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (40273875)
村田 頼信 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (50283958)
此松 昌彦 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50314547)
平田 隆行 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (60362860)
塚田 晃司 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (80372671)
吉野 孝 和歌山大学, システム工学部, 教授 (90274860)
村川 猛彦 (田中 猛彦) 和歌山大学, システム工学部, 講師 (90304154)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自然災害 / 土砂災害 / 洪水 / 防災 / 減災 |
Research Abstract |
1年目の平成25年度には,災害対応の基本要素として(1)災害地理情報,(2)防災・減災計画,(3)情報通信技術,(4)センシング技術の4つを設定し,それぞれの視点から紀伊半島の災害特性や耐災性を評価することを目指した.4つの研究テーマごとの成果の概要は以下のとおりである. (1)災害地理情報では,平成23年台風12号による紀伊半島大水害に関する現場調査を実施した.また,調査結果に基づいた地理情報分析により県内で発生した土砂災害の特徴を明らかにした.(2)防災・減災計画では,災害時要援護者支援,孤立集落対策などを含めた紀伊半島の地域特性にあった防災計画の立案や防災意識を日頃から高めるための防災教育の構築に取り組んだ.これまでには,平成23年台風12号による被害状況調査や災害時要援護者支援に関する聞き取り調査を実施するとともに,地域住民が主体となって防災街区整備地区計画等の空間整備ルールづくりを行う方法(防災まちづくり計画手法)の開発を行った.(3)情報通信技術では,災害時避難支援情報の日常利用を支援するシステムを開発した.また,防災情報配信のために,防災活動の判断材料となるセンサデータ収集・配信サーバの構築や防災に関するWeb情報の収集・検索・閲覧に適したデータベースの設計を進めた.(4)センシング技術では,鉄鋼構造物健全性の非解体評価法(表面SH波音弾性法),および橋梁微小たわみ角の遠隔計測法(サンプリングモアレ法)を開発し,屋外におけるそれぞれの精度向上を図った. また,紀伊半島大水害で大きな被害を受けた和歌山県新宮市および東牟婁郡の市民向けに,山間部が多く海岸線が長い紀伊半島に適した防災技術の開発や災害に強いまちづくりに関する最新の研究事例の紹介を通して,災害に強い紀伊半島を一緒に考えるための講演会を開催し,約170名の参加があった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目はテーマごとに研究を進め,個々の内容の深化を図ることを目指した.(1)災害地理情報については,現地調査に基づいて平成23年台風1号豪雨災害の分析を進めた.(2)防災・減災計画では,現地での聞き取り調査などを通して,孤立集落対策,災害時要援護者支援などへの対応策の検討を進めた.(3)情報処理技術では,中山間部が多く海岸線が長い紀伊半島に適した災害に備え情報を集め見せる技術,および災害時に情報を伝える技術の基本設計を進めた.(4)センシング技術は,個々の技術の高度化を図ることで,災害モニタリング技術としての実用化を進めた.このように,テーマごとに研究を遂行した結果,平成25年度には当初の研究目的をおおむね達成することができ,研究成果を学術論文や学会発表するとともに,一般向けイベントを通して市民との間の協働体制も構築できつつある.これにより,平成26年度の研究に速やかに取り掛かれる状況になっている.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目(平成25年度)の成果を踏まえ,4つに分類したテーマ毎に研究をさらに進める. (1)災害地理情報では,現地調査を継続するとともに,調査結果を豪雨災害の素因や誘因と合わせて地理情報システム上でデータベース化し,豪雨災害危険個所の抽出を行う.(2)防災・減災計画では,防災まちづくりとして,前年度までに得られた孤立集落や災害時要援護者支援などに関する課題を受けて,防災・減災から復旧・復興までを対象とした防災まちづくりや避難所生活改善などの検討を進める.一方,防災教育では,想定外を想定した防災教育に必要な内容に関する調査を引き続き実施して整理を進める.(3)情報通信技術では,センサデータ関連で,通信プロトコルならびに設計した通信装置によるプロトタイプシステムを屋内外での検証実験を通して完成度を高めることを目指す.文字データ関連では,防災・減災に関するブログ等のWeb情報収集・閲覧システムの実証を行うとともに,センサデータ等と連携して分析や可視化を円滑に行うためのインタフェースを設計する.情報通信手段断絶時対策では,オフライン対応型災害時避難支援システムのプロトタイプの評価および避難支援に必要なデータの継続的な収集サービスの構築を進める.(4)センシング技術では,開発した斜面監視技術が屋外で安定した観測を可能とするために,雨や風などによる画像ゆらぎによる変位と実際の斜面の変位を判別するためのアルゴリズムを開発する.また,構造物監視技術では,T形表面SH波センサを山形鋼表面上でスキャンさせ残留応力分布を計測し,また応力評価に最適な箇所の検討を進める. さらに,当初の予定にはなかったが,平成23年台風12号災害調査を進める中で,発災後に人が入れない場所を調査する技術の重要性が明らかになったので,暴風雨下の悪条件下での走行が可能なロボット利用したセンシング技術の開発を開始する.
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Research Products
(44 results)