2014 Fiscal Year Annual Research Report
Si基板上のCdTe成長層を用いた医療用高性能大面積X線ビデオカメラの開発
Project/Area Number |
25242048
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 和人 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60182333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NIRAULA Madan 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20345945)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線検出器 / CdTe / エピタキシャル成長 / 電子デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
有機金属気相成長法によるSi基板上のCdTe単結晶厚膜成長層を用いたアバランシフォトダイオード(APD)によりX線動画観察が可能な超高感度の2次元アレイ型画像検出器を実現することを目的として検討を行っている。 高性能の2次元APDアレイ実現のためには、APDの低暗電流化と、X線検出により発生したキャリア増倍率の2次元アレイ面内での分布の均一化が不可欠である。 本年度は昨年度に引き続きp+-CdTe/p-CdTe/n+-CdTe/n+-Si構造のAPD製作を目指して、暗電流の低減化に必要な低転位のCdTe層成長条件と、2次元検出器アレイのキャリア増倍率分布の均一化に不可欠な成長層膜厚分布と成長層表面モフォロジーの均一化について重点的に検討した。 その結果Si基板上でCdTe成長層を低転位化できる成長基板の前処理方法と、CdTe成長層の成長後に実施する熱アニールによるCdTe層中の歪みの低減方法を最適化した。これら前処理や成長後の熱アニールによって成長したCdTe/Si層によりp-CdTe/n+-CdTe/n+-Si構造のダイオードを20x20に2次元配列した検出器アレイを製作した。その検出器アレイの暗電流値とその2次元分布を評価した結果、暗電流は従来と比較して低減できていること、さらにその2次元分布も均一化できていることが確認できた。一方CdTe層膜厚分布の均一性は向上できたが表面モフォロジーの均一化にはまだ改善の余地があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25.4X25.4mm2の大面積Si基板上に成長したCdTe層膜厚分布と成長層表面モフォロジーの均一化を検討した。成長室天井に設けた3箇所の成長原料導入口を使用し、各供給口からの原料導入量を独立に精密制御することにより、成長層膜厚分布の均一化を達成した。一方成長層全面での表面モフォロジーの均一化にはまだ課題がある。これは成長表面におけるCd及びTe原料分解の微細な不均一が原因であり、3箇所の供給口からのキャリアガスと原料供給量をさらに最適化する必要がある。成長層高品質化(低転位化)については、Si基板の成長前処理と成長初期に実施するアニール方法の改善により達成できた。その結果成長層の基板からの剥離やひび割れがほぼ完全に防止できるようになった。また成長層によりp-CdTe/n+-CdTe/n+-Si構造のダイオードを20x20に2次元配列した検出器アレイを製作し、検出器暗電流の低減とその2次元分布の均一性を確認した。 課題である、CdTe 成長層の膜厚分布の均一化と検出器の低暗電流化とその2次元分布の均一化は達成した。しかし成長層表面モフォロジーには改善の余地があるため、おおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえて、表面モフォロジーの均一化の達成を目指す。これまでと同様にp-CdTe/n+-CdTe/n+-Si構造のダイオード型検出器を製作し暗電流特性の評価を通じ成長条件を最適化する。またp+-CdTe/p-CdTe/n+-CdTe/n+-Si構造のAPDの試作を行い、CdTe中の電子と正孔の衝突電離係数に関する知見を得る。また、p+-Si基板上に成長したCdTe層を用いたn+-CdTe/p-CdTe/p+-Si構造のAPDについても試作を行い、n+-Si基板上の素子との特性比較により、衝突電離係数に関する相互検証を目指す。
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Research Products
(6 results)