2015 Fiscal Year Annual Research Report
Examination of visuo-motor coordination mechanism by three-dimensional lgaze-motion measurement and its application to skill training
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25242059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 和俊 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30302813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 公孝 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90360677)
山本 裕二 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (30191456)
木島 章文 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (10389083)
関口 浩文 上武大学, 商学部, 准教授 (20392201)
七五三木 聡 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20271033)
門田 浩二 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50557220)
門田 宏 高知工科大学, 総合研究所, 准教授 (00415366)
平島 雅也 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (20541949)
奥村 基生 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90400663)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スポーツ / スキル / 視覚運動協調 / 熟達化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、自動車運転時の視覚ー運動協調について解析を進め、自動車静止時の車体幅知覚誤差と間隙通過時の視線移動との間に正の相関があることが明らかになった。これは、自動車運転において、車体幅の知覚が不十分である場合、間隙の縁を注視することによって車体の通過可能性を確認するという注視行動が生じることを示唆している。一方、GPSの記録より、左右の間隙縁に対する注視は車体進行方向の動揺をもたらし得ることも示されていることから、通過のための注視行動がステアリングの不安定性を導いている可能性が考えられ、注視行動は運転の熟達化における知覚ー行為循環の変化に重要な影響を与えていることが明らかになった。また、対人競技における眼球ー頭部ー体幹協調について検討するため、剣道の攻防における注視点と動作の関係について検討した。その結果、熟練者では打突点や相手の竹刀に注視点が移動することなく打突や攻撃の防御が可能であることが明らかになった。この理由としては、知覚的要因(周辺視の利用)および認知的要因(事前知識)が考えられる。また、手押し相撲を対象として、試合時の視線および動作を計測し、注視方略とパォーマンスの関係について解析を進めている。さらに、到達運動における眼球運動の役割について検討し、事前に目標位置に視線を移動させることにより動作終点の変動が減少する可能性が示唆された。加えて、スキー、スノーボード、弓道時の眼球運動計測を、異なる熟達レベルの参加者を対象として実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、日常動作や対人スキルの制御における視知覚の影響について明らかにすることであった。これまでの研究において、手による素早い到達動作、一致タイミング動作、スキー・スノーボード、自動車運転、テニスのボレー、弓道などの個人スキルおよび剣道、手押し相撲などの対人スキル動作時の眼球運動および動作/筋活動等を計測し、初心者ー熟練者間で比較することにより、熟達化に伴って不安定な視知覚と不安定な運動の相互作用から安定した視知覚と安定した運動の相互作用へと知覚ー行為循環が変化することが示唆されるに至った。これらの成果を日本スポーツ心理学会、日本体力医学会、日本武道学会、International Symposium-Health Promotion、International Symposium on Integrated Understanding for Emergent Property of Cooperation and Competition Dynamics、Global Science Conference 2015: Convergence and Future of Sport にて発表し、更に第42回日本スポーツ心理学会シンポジウム「視覚の信号処理から運動の認知へ至るメカニズム」を企画・開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究において、個人スキル、対人スキル、日常動作を含む幅広い運動を対象とした視線計測・解析を行った。これら一連の実験により、スキルの熟達レベルによって注視方略が異なり、たとえば自動者運転の熟達者では間隙縁を注視することなく間隙通過が可能であることが明らかになった。この注視方略の理由として、1)周辺視による知覚能力の相違、および2)事前知識の相違の2つの理由が考えられることから、これらそれぞれの要因が注視方略に及ぼす影響を明らかにする。また、これまでの研究により、多くのスキルの初心者は注視点が安定しないことにより運動の不安定性が誘発され、運動が不安定になることによってその修正に注意配分が必要となり、注意配分が減少することにより環境情報の知覚が不十分になり、不十分な情報知覚が注視点や運動のさらなる不安定性をもたらすという循環過程の存在が示唆された。そこで最終年度となる今年度は、更に幅広い熟達レベルの人々を対象にした計測および学習実験を行うことによりこの循環過程がどのように変容するのか明らかにするとともに、現在までに得られた視覚ー運動協調に関する知見を学術誌にて公開する。
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Research Products
(19 results)