2014 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱下運動時における熱中症発症の新メカニズム検証と新予防法の提案
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25242061
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西保 岳 筑波大学, 体育系, 教授 (90237751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 恵嗣 静岡県立大学短期大学部, 一般教育等, 講師 (00431677)
本田 靖 筑波大学, 体育系, 教授 (20165616)
小川 剛司 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70451698)
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 安静加温 / 深部体温 / 換気量 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験Iとして、一回換気量と呼吸回数の両方を被験者にフィードバックすることで、安静加温時における深部体温上昇に伴う換気亢進反応の約90%を随意的に抑制でき、これにより低下した呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)の約100%が回復し、脳血流速度(MCAVmean)低下の約90%を抑制できることが明らかになった。また実験Ⅱとして、呼吸回数のみのフィードバックを用いた呼吸コントロールが安静加温時の換気および脳血流反応に及ぼす影響について検討した。随意的な呼吸コントロール方法として、被験者に対して加温5分目までの呼吸回数をメトロノームの音によってフィードバックし、一回換気量については加温前の量にできるだけ抑えるよう実験開始前に指示を与えた。体温上昇時において、通常呼吸(Nor-Breath)条件に比べて呼吸コントロール(Con-Breath)条件で、換気量は低値を、またPETCO2やMCAVmeanは高値を示した。安静加温終了時 (Tes: 39.1°C) において、1. Con-Breath条件では、Nor-Breath条件で増加したVEのうち88%を抑制でき、2. Con-Breath条件では、 Nor-Breath条件で低下したPETCO2のうち約110%が回復し、MCAVmean低下の約47%を抑制した。以上の結果から、随意的な呼吸コントロール方法として呼吸回数のみのフィードバックを用いた場合、健常男性は安静加温時における深部体温上昇に伴う換気亢進の約90%を随意的に抑制でき、体温上昇時に起こる脳血流量低下の約50%を抑制できることが、示唆された。これらのことから、呼吸回数のみのフィードバックで行う呼吸コントロール法を、熱中症や暑熱下の運動パフォーマンス低下に対する現場への手法として提案できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体温上昇時における換気亢進反応を、意識してコントロール可能かどうかに関する、上記2つの実験を行い、生理学的およびスポーツ科学的にも極めて興味深い知見が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
動脈血二酸化炭素分圧の呼吸コントロールや体温調節反応への影響について検討するため、安静下肢温浴によって体温を上昇させた場合に、二酸化炭素を吸入して動脈血二酸化炭素分圧を変化させた時の換気反応や脳血流反応を測定し、解析する。また、高体温時の短時間高強度運動に対するパフォーマンスや換気反応に及ぼす影響についても検討する。
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Research Products
(7 results)