2013 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜構成脂質の機能を探る小分子の再発見と作用機構の解明
Project/Area Number |
25242073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 道雄 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40183652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松森 信明 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314357)
松岡 茂 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任准教授(常勤) (60456184)
土川 博史 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30460992)
梅川 雄一 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (20587779)
花島 慎弥 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (50373353)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | コレステロール / 脂質二重膜 / 脂質ラフト / 小分子プローブ / 表面プラズモン共鳴 / 重水素固体NMR |
Research Abstract |
生体膜の材料としてしか認識されていなかった膜脂質が、特異な生理作用を有する事例が次々と見つかっている一方で、天然物や薬物などの生物活性小分子が、タンパク質以外の標的分子に結合することによって作用を発現する事例が報告されている。例えば、ある種の抗真菌物質は、真菌細胞膜に含まれるステロールと特異的に結合することによって選択毒性を発現することが知られている。本研究では、タンパク質以外の分子標的のかなでも脂質分子に結合することによって生物活性を発現する小分子化合物について、今年度は、既知物質を含め生物活性化合物を対象にして、脂質ラフトなどのマイクロドメインに結合することによって生体膜における情報伝達機能を改変することのできる化合物について作用機構を解析した。その結果、海洋天然物であるセオネラミドAが3-α-ヒドロキシステロールと特異的に相互作用して、生物活性を示すことを重水素固体NMRによって実証した。これら知見をもとに、本化合物の特異な膜活性を、固体リンNMRおよび蛍光顕微鏡によって詳細に検討した。その結果、セオネラミドAの有する活性が、膜表面に局在化することよって、脂質分子の充填を見出し、膜の透過性が増大しているとの仮説を得るに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小分子の評価を行う目的で表面プラズモン共鳴法による親和性評価法を確立した。特に、脂質膜を用いる時に大きな問題となっていた非特異的吸着を最小限に抑える実験条件を見出したので、今後の研究展開が加速されると期待できる。また、標的脂質を含有した人工膜リポソームの形態が、天然物によって顕著に変化することも、作用解析において重要な指標となるが、共焦点顕微鏡による新たな手法を確立することができた。 また、固体NMRを持ちた膜脂質との相互作用にについて、リンの化学シフト異方性を利用する新手法を開発することに成功したので、当初の計画に照らして、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
計画調書に沿って以下の3点を推進する。 a) 膜脂質を特異的に認識する小分子プローブの再発見: 前年度に確立したSPRによる効率的手法を用いて、サポニンに代表されるステロイド配糖体を対象として膜脂質と高い親和性を示す候補化合物の絞り込みを行う。 b) 重水素固体NMRによるラフト脂質との直接相互作用の観測: a)において見いだした化合物については、重水素化コレステロール・エルゴステロールおよびラフト形成脂質である重水素化スフィンゴミエリンと混合して脂質二重膜を作成し、重水素固体NMRを測定する。すなわち、脂質-小分子間の特異的結合による重水素標識脂質の運動性の減少、および熱的変化をITCによって測定することによって、各種脂質の生物活性小分子との結合親和性を評価する。 c) 小分子プローブ候補の作用機構の解析: 脂質二重膜に対する重水素固体NMRおよびSPR法を、脂質の標的候補である膜タンパク質を再構成したリポソーム系に適応する。また、受容体タンパク質等に対する膜脂質の結合をSPRで検出することを試みる。
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Research Products
(17 results)