2015 Fiscal Year Annual Research Report
越境と変容―グローバル化時代におけるスラヴ・ユーラシア研究の超域的枠組みを求めて
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25243002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沼野 充義 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (40180690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 惠子 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (10229726)
松里 公孝 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20240640)
柳原 孝敦 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (20287840)
青島 陽子 神戸大学, 国際文化学研究科, 講師 (20451388)
小松 久男 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (30138622)
乗松 亨平 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40588711)
井上 まどか 清泉女子大学, 文学部, 准教授 (70468619)
亀田 真澄 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (70726679)
下斗米 伸夫 法政大学, 法学部, 教授 (80112986)
池田 嘉郎 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80449420)
安達 祐子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90449083)
加藤 有子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90583170)
坂庭 淳史 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (80329044)
湯浅 剛 広島市立大学, 広島平和研究所, 教授 (80758748)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スラヴ研究 / ユーラシア研究 / ロシア研究 / 中欧・東欧研究 / 越境文学 / 世界文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主要課題を「東アジアが発信するスラヴ・ユーラシア研究」とし、最初の2年間の研究を、各地域・ディシプリンにおいて継続的に発展させるとともに、中間報告の意味を持つ学会発表を積極的に行った。そのための最大の機会は、2015年8月3日~8日に千葉市幕張(幕張メッセおよび神田外語大学)で開催された第9回国際中欧・東欧研究連絡協議会(ICCEES)世界大会であった。この大会の開催に向けて、研究代表者および分担者の大多数は積極的に準備に取り組み、組織委員会のメンバーとして大会運営に携わった。 そして代表者および分担者の多くは、この大会で国際政治・経済・歴史・文学・文化・芸術・社会などの分野でそれぞれパネルを組織するとともに(そのためにかなりの数の外国人研究者を、科研費およびその他の財源を活用して招へいした)、自ら研究成果報告も行い、日本のスラヴ・ユーラシア研究の成果を国際的に発信した。 また10月3日にはこの大会での報告・討論の成果を踏まえて、ICCEES世界大会組織委員会総括集会を開催し(於東京・如水会館)、世界大会実施報告書の編集に着手した。 今年度のこれらの学会・集会活動を通じて、成果を上げた特に重要な課題は、(1)ウクライナ危機を、現代の国際政治の観点からだけでなく、文化・歴史のパースペクティヴから総合的にとらえること、(2)東アジアにおけるスラヴ・ユーラシア研究のネットワークの構築と協働態勢の強化、(3)日本と東アジアの国際関係を、政治・経済だけでなく、文化交流の面も含めて検討すること、(4)スラヴ文学と日本文学の関係・相互の影響を、世界文学のプロセスの中で把握することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究プロジェクト全体の成果発表の中間的総括の最大の場であった、第9回国際中欧・東欧研究連絡協議会世界大会を成功裡に実施・運営し、研究代表者および分担者の多くがこの大会でパネルを組織し、研究報告を行い、研究活動が一定の成果を得ていることを国際的に示すことができた。ICCEES世界大会との関わりで言えば、研究プロジェクトのメンバーのうち、沼野・下斗米が共同組織委員長、松里が事務局長、亀田が事務局次長を務め、総計13名がパネル・シンポジウムなどの組織または研究発表を行った。 50か国から1300名を超える研究者の参加のあったこのような大規模国際学会において、準備運営の中核を担い、研究成果を国際的に発信できたという点では、大きな成果があったと自己評価できる。 しかし、反省すべき点としては、ICCEES世界大会での研究報告やシンポジウムなどを論文や印刷物にまとめて出版する作業に若干手間取っており、まだすべてが活字になっていない点が挙げられる。ただし、2015年3月に刊行された東京大学文学部現代文芸論研究室論集『れにくさ』第6号は、After Makuhariという副題を掲げ、ICCEES世界大会の成果を踏まえたロシア・中東欧特集号になっており、これがある程度までは実質的な成果出版物の一つとして位置づけられる(ただしこの論集刊行費用は、ICCEES世界大会組織委員会事務局を務めた東京大学文学部現代文芸論研究室の大学運営費による)。 また大規模国際会議の準備・運営に多大な時間とエネルギーを費やした結果、研究プロジェクト構成メンバーの個々の研究の掘り下げが行われていても、それが研究グループ全体で十分に共有、検討されなかったきらいがある。ICCEES世界大会での研究発表や討論の成果を踏まえた研究の深化および全体のコーディネートと統合については、平成28年度以降の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)2016年度は、これまでの研究成果を踏まえ、不十分であった分野を補うために、さらに2名の研究分担者を新たに加えることとする。またポスドクレベルの若手研究者にも参加を呼びかけ、若手研究者の活動の場を提供するよう努める。 (2)その結果、研究グループの規模がさらに大きくなり、多様な構成になるだけに、その全体を調整し、統合する方向の作業を重要視する。2016年度は研究グループ内のサブグループによる研究集会を地道に積み重ねる一方で、全員参加による全体の研究集会を通じて、研究全体の着地点を見定める努力を開始する。その際、関連分野で傑出した外国人研究者を招へいし、国際的な水準での討議を行うとともに、助言を求める。 (3)2015年に開催されたICCEES世界大会のプロシーディングズは残念ながら2015年度中には完成できなかったが、今年は引き続き、まとまった多巻構成の論集を刊行すべく、関連学会組織(特に研究代表者沼野が代表幹事を務める日本ロシア・東欧研究連絡協議会)と連携しながら、編集作業に取り組む。 (4)このプロジェクトはかなり大人数の共同研究にはなるが、基本になるのはあくまでも、分担研究者一人一人がそれぞれの専門分野での調査・研究を深めていくことである。その際課題となるのは、多様な構成メンバーたちの間の分野横断的な討論・対話をどのように活性化させるかという点である。今年度はメーリングリストを活用して、メンバー相互の連絡を強化していき、各構成員の活動や研究成果について互いに常時共有する態勢を作る。
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Research Products
(47 results)