2013 Fiscal Year Annual Research Report
アンコール遺跡群を事例とした考古情報資源共有化に関する研究
Project/Area Number |
25244039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
森本 晋 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 室長 (40220082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野邊 渉 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, センター長 (00169749)
津村 宏臣 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (40376934)
杉山 洋 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 部長 (50150066)
丸井 雅子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90365693)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 情報共有 / アンコール地域 / 文化財調査 / 国際研究者交流 / メタデータ |
Research Abstract |
本研究は、日本の研究機関・研究者によって行われてきた海外の文化遺産調査の調査成果を蓄積して発信するシステムの開発を目指すもので、アンコール地域での文化遺産調査成果の共有化をその目的としている。本年度は、国内4機関(上智大学・早稲田大学・東京文化財研究所・奈良文化財研究所)が保有している調査成果の内、特に写真資料へのタグ付を、同志社大学開発のソフトで行った。研究分担者がそれぞれの機関での所蔵写真にメタデータを付与する作業を開始したところ、ソフトを改良すべき点もいくつか見つかった。特に、データとして用いる用語やその表記の統制のために標準的な語句をあらかじめ用意する必要が強く感じられた。また、印刷物として公表している資料のリスト作成と電子化、調査時の手書き実測図類のリスト作成と電子化も各機関において同時に進めている。 情報共有のためには、資料そのものの電子化も必要であるが、それらは量が多いこともあり、まず網羅的で綿密なリストの作成を進めながら、同時進行で原資料の電子化および、それに対するメタデータの付与を行っていなくてはならないことが改めて認識された。 海外の研究機関によるデータベースについては、特にフランス極東学院が作成した資料の調査を行ったが、完成形となっていないデータベースもあり、データベース構造に無理があった可能性も含めて、考えられる理由などについて、より詳しい検討が必要と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンコール地域で文化遺産調査を担っている国内の4機関(上智大学・早稲田大学・東京文化財研究所・奈良文化財研究所)のそれぞれにおいて、調査資料のリスト化や電子化が順調に進められている。本年度の実施計画にあげていた、タグ付けソフトによる画像データに対するメタデータの付与を開始し、メタデータ構成の検討に寄与している。ただ、タグ付けソフトの動作が不安定な時があることと、用語統制の必要性が認識されたことが問題点として指摘できる。これらの点は、資料の着実な電子化とリスト作成を続けて行く中で、解決すべき問題でもあり、計画の進行上において致命的な遅延をもたらすものではないと考えている。 これらの点から、現在までの達成度は、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
写真資料にタグ付を行うソフトの改良を行って動作の安定化を図るとともに、付与するメタデータ構造の検討を深化させる。また、網羅的なリストの作成と悉皆的な原資料の電子化を行う。電子化した資料の確実で永続的な保管を図る。 よりよいメタデータ作成のために、内外の関係データベースの調査を継続する。特に同じアンコール地域で調査を行っている機関が作成しているデータベースをさらに調査する。メタデータは原資料から見れば一段階抽象化された存在ではあるが、原資料の内容に依存する部分も多い。よってアンコール地域の文化遺産に関するデータベースを共有できる形へと改良していくには、その内容を熟知している研究者・研究機関が作成した、あるいは作成を試みているデータベースを詳しく分析することが重要である。本年度明らかになったように、作成途中で頓挫している計画も重要なヒントを内包しているものと考えられ、引き続き検討を進めるとともに、新規の検討対象としては、シドニー大学の取り組みが候補として有望である。 こういった深化したメタデータの吟味が進むと、各機関のデータベースが専門性を高めていくために、当初の目的とは反対に情報共有がしだいに困難になりかねない。よって、情報共有・情報交換のためのコアとなるメタデータ間のゆるやかな結びつきを常に確保することが求められる。その試行には、ある程度の量の電子化された原データを集約しての共有実験も行うべきで、そのためのファイルサーバーを導入するとともに、データの安全な保管にも留意しなくてはならない。
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