2013 Fiscal Year Annual Research Report
裁判外紛争解決手続の実証的研究:ADRをめぐる政策提言のための実証的基盤の構築
Project/Area Number |
25245002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 勝造 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40152136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣内 秀介 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10282534)
前田 智彦 名城大学, 法学部, 教授 (10292806)
D・H Foote 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10323619)
石田 京子 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (10453987)
今在 慶一朗 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40359500)
入江 秀晃 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50600029)
河上 正二 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70152923)
菱田 雄郷 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90292812)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 裁判外紛争解決手続 / 法律相談・苦情処理 / 司法アクセス / 実態調査 / 法政策提言 / 調停 / 仲裁 / 和解 |
Research Abstract |
本研究は,ADRの利用者に対する調査票を利用した調査(利用者調査)等を通じてADRの利用の実態を明らかにするとともに,利用者にとって魅力あるADRの条件を解明し,一定の政策的提言につなげることを目的とするものである.本年度は,①調査票における調査項目の検討と,②調査の対象となるADR機関との調査条件の折衝・調整を主として行った.①については,従前の訴訟手続利用者調査等の研究を精査し,ADRの利用者調査にも利用可能な調査項目を洗い出すとともに,比較的利用者数の多い複数のADR機関事務局に対するヒアリング調査およびADRに造詣の深いゲストスピーカーによる講演を通じてADRの多様な実態についての知見を深めた上で,調査項目を調整するという作業を行った.また,②については,ヒアリング調査の対象としたADR機関に対して利用者調査への協力を要請した上で,協力を見込めそうなADR機関との間で調査項目,調査の範囲および調査の具体的な手続について折衝・調整を行った.以上の作業の結果,調査項目は概ね確定し,一部のADR機関との間では,調査の範囲および調査の具体的な手続(主として調査票の利用者に対する交付から回収までの具体的な手続)について合意に近い段階にまで至った.なお,本年度は,以上の作業と並行して,外国におけるADRの動向についての調査を行い,その成果として,日米の調停政策の比較を含む入江「自由と正義」論文,フランスのADR法制を紹介する垣内の日本語の2論文を得た.心理学,交渉理論等の成果に基づいて現代調停の存在意義を明らかにする入江論文「調停」,対話型調停モデルにおける具体的な調停技法を明らかにする入江の13本の論文,交渉理論および交渉技法を身に着けさせるADR教育の実践を紹介する太田「仲裁とADR」誌論文も本年度(JCAジャーナル)の研究成果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,①調査項目の検討,及び,②対象となるADR機関,相談・苦情処理機関との調査条件の折衝・調整を行うという計画であったが,調査項目は概ね確定し,対象となるADR機関のいくつかとは調査条件について合意に近い段階まで至った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては,平成25年度における準備作業を踏まえて調査票を確定し,調査条件・方法について承諾の得られたADR機関において,利用者調査を実施する.この調査において調査会社を利用するかどうかについては,各ADR機関と合意した調査方法及び調査会社を利用する場合に生じる費用に応じて検討の上,決定する予定である.利用者から得られた回答については,調査実施時期にもよるが,本年度中に予定する調査機関が満了したものについては,順次,集計・分析作業を開始する.また,先行して実施した調査により,調査票の内容及び調査方法に関して問題点や新たな知見が得られた場合には,調査全体の統一性を損なわない範囲で,それらを以後の調査に反映させることが考えられる. 平成27年度以降は,引き続き,調査について承諾の得られたADR機関についての調査を実施するとともに,調査結果についての分析を進める.分析に関しては,定期的に研究会合を開催し,各メンバーが分担して行う分析の結果について討議を行うとともに,ADRに関連する実務家の参加を得ることを考えている. また,こうした調査結果との比較・対照を可能にするとともに,ADR機関及び相談・苦情処理手続のすべてについて網羅的な調査を実施することが事実上困難であるという研究遂行上の問題点への対応として,一般市民に対するサーベイの実施についても,検討する.こうした一般市民調査を実施することにより,広く,ADRの潜在的利用者におけるADRや相談・苦情処理手続の認知度や手続知識を解明し,あわせて,対象者中にこれらの手続の利用者がいる場合には,可能な設問数の限度でADR利用者調査及び相談・苦情処理利用者調査と同様の質問調査を行うなどの工夫を講じることによって,ADR利用者調査及び相談・苦情処理手続利用者調査の結果についてのより重層的な評価が可能になるものと期待される.
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Research Products
(28 results)