2013 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスの公法改革における普遍性と固有性の相互関係再編に関する総合的比較法研究
Project/Area Number |
25245007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
榊原 秀訓 南山大学, 法務研究科, 教授 (00196065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉持 孝司 南山大学, 法務研究科, 教授 (00153370)
友岡 史仁 日本大学, 法学部, 教授 (00366535)
長内 祐樹 金沢大学, 法学系, 准教授 (00579617)
大田 直史 龍谷大学, その他部局等, 教授 (20223836)
大田 肇 津山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30203798)
江島 晶子 明治大学, 法務研究科, 教授 (40248985)
佐藤 潤一 大阪産業大学, 教養部, 准教授 (40411425)
深澤 龍一郎 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50362546)
上田 健介 近畿大学, 法務研究科, 教授 (60341046)
洞澤 秀雄 南山大学, 法学部, 准教授 (60382462)
和泉田 保一 山形大学, 人文学部, 准教授 (60451655)
岡田 章宏 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70185429)
伊藤 治彦 岡山商科大学, 法学部, 教授 (80176354)
庄村 勇人 名城大学, 法務研究科, 准教授 (80387589)
萩原 聡央 名古屋経済大学, 法学部, 准教授 (80410835)
林 晃大 近畿大学, 法学部, 准教授 (80548800)
田中 孝和 姫路獨協大学, 法学部, 准教授 (90441328)
山本 寛英 北海道大学, 学内共同利用施設等, その他 (90548166)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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Keywords | 公法学 / 行政法学 / 憲法学 / 行政救済 / 市民参加 / 司法審査 / 人権法 / 行政的正義 |
Research Abstract |
本年度は、2013年秋に追加採択を受けた後、急ピッチで研究を進め、12月に研究代表者・分担者で合宿研究会を行い、それぞれの担当内容や今後の計画を確認した。各メンバーは担当内容に関する文献の収集や検討を行い、担当内容について研究を行った。2014年3月には、ゲスト・スピーカーとして、イギリス社会保障法を専門とする札幌学院大学山下慎一講師と、イギリス憲法を専門とする関西学院大学柳井健一教授に研究会で報告をお願いし、2007年の審判所改革の意義や、日本とイギリスにおける日英憲法セミナーの成果や研究会の準備の仕方について議論した。同じく3月には、イギリス調査に研究代表者と研究分担者3名が行き、資料収集をするとともに、全員で計画法上の開発行為の許可拒否処分に関する公開審問(public inquiry)を視察し、不服申立人側のバリスタと、拒否処分をした自治体側のソリシタによって、裁判類似の手続が進行することを確認した。さらに、3名は、Landmark Chambers(法律事務所)において、Public Law Project(PLP)のサンキン(Sunkin)教授とリサーチ・ダイレクターであるボンディ(Bondy)氏にヒアリング調査をした。まず、 PLPのプロジェクトの概略を説明してもらい、その後、現在司法審査の改革が司法省から提案され、法案も提出されていることから、その提案の意味や評価について討論をした。また、出入国管理領域においては、司法審査の管轄権を高等法院行政裁判所(行政部)から、第二層(上級)審判所に移す改革も行われているので、同じ司法審査権限を高等法院と第二層審判所で行使する場合の相違などについて討論を行った。この会合の最後には、2014年度に日本で行う研究会において、お二人に報告をしていただくことなどについて打ち合わせをした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年の予定として、まず、文献収集等を計画していたので、日英の研究者による本・論文にとどまらず、政府の省庁、法改革委員会等の公的機関、自治体や国会の庶民院・貴族院・合同委員会等による意見聴取文書、報告書のような公的資料、様々な法律家団体の報告書等を収集し、文献調査を行った。また、国内で研究会を開催し、外部の研究者への報告依頼も計画していたことから、2013年12月に合宿研究会を行い、過去の科研やそれぞれの研究分野の成果を共有し、本科研のテーマとの関係で、個々の分担者やグループで明らかにすることを確認した。2014年3月には、国内で研究会を開催し、ゲスト・スピーカーである札幌学院大学山下慎一講師から「イギリス社会保障法領域における審判所の『独立性』と『積極的職権行使』」の報告を聞き、関西学院大学柳井健一教授から「イギリス憲法の現状――科研でのセミナーの経験から」の報告を聞き、内容にかかわって、また、外国の研究者との研究会開催の準備について議論した。さらに、個人またはグループで、イギリス調査を行うことを計画していたので、2014年3月に、研究代表者と研究分担者3名でイギリス調査に行った。資料収集をするとともに、全員で計画法上の開発行為の許可拒否処分に関する公開審問(public inquiry)を視察した。その内の3名は、以前から情報提供を受けているPublic Law Project(PLP)においてヒアリング調査を行った。具体的には、Landmark Chambers(法律事務所)において、サンキン(Sunkin)教授とリサーチ・ダイレクターであるボンディ(Bondy)氏からPLPが行っているプロジェクトの概略について説明してもらい、その後、司法省による司法審査改革提案や、近年の改革について議論した。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度と同様に、各メンバーは、研究者の文献とともに、政府省庁、法改革委員会等の公的機関等による意見聴取文書、提案文書、国会の庶民院・貴族院・合同委員会等における報告書のような公的資料を収集し、文献調査を行い、研究会において個々の研究の進捗状況を報告する。また、ゲスト・スピーカーを含めて、国内の研究会を行う。そのほかに、次の二つを重点とする予定である。まず、重点の一つ目は、イギリス調査である。研究分担者の少なくとも6名が調査に行くだけではなく、イギリス憲法を専門とする研究協力者2名にも調査に行ってもらう予定である。現段階で調査予定として決まっているのは、9月に実施されるスコットランド独立のレファレンダムの調査であるが、それ以外については、メールや研究会の機会を使って調整する。イギリス調査では、研究者のみならず、政府機関、法律家団体や市民団体を含めて対象とする。二つ目の重点は、2015年2月または3月に名古屋と京都で予定しているPublic Law Project(PLP)のサンキン(Sunkin)教授とリサーチ・ダイレクターであるボンディ(Bondy)氏に報告をしてもらう研究会の開催である。パブリック・ロー・プロジェクトは司法審査等の実証的研究を行っており、最近は、司法審査改革提案について問題点を指摘し、自らの見解を明らかにしている。したがって、司法審査を主要テーマとし、その他として、司法審査以外の行政救済や憲法にかかわるテーマを設定する予定である。両氏は、わが国の研究者の関心を知った上での報告を希望しているので、事前にわが国の法制度の状況等についてもわかるようにするつもりである。研究会後には、両氏の報告を翻訳して、大学紀要において公表、または他の論文とともに本として出版することを予定している。この研究会の準備の必要もあることから、12月に合宿研究会を行う予定である。
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