2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25245033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
国友 直人 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10153313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 隆一 国立社会保障・人口問題研究所, 国立社会保障・人口問題研究所, 副所長 (30415814)
川崎 能典 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (70249910)
田中 周二 日本大学, 文理学部, 教授 (30451305)
大屋 幸輔 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20233281)
塚原 英敦 成城大学, 経済学部, 教授 (10282550)
清水 泰隆 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (70423085)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済リスク / 稀な現象と再帰的現象 / 保険の統計学 / 高頻度金融データの統計学 / リスク尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本では東日本大震災を契機に「通常の常識では起こりにくいとされる事象」についてのリスク解析や対策の重要性についての認識が高まった。経済・金融・社会における現象でもリーマンショックにつづく経済危機、ヨーロッパ諸国の金融危機など、国際的に連動している現代の経済社会においては、従来の経済学など社会科学における議論ではほとんど考慮されていなかった経済変動を経験している。こうした事前には予想が困難であり、従来の研究では無視されがちである事象、自然災害、経済変動の中でも稀ではあるが実際に起きると大きな影響のある不確実な事象を科学的に理解し、有効な対策を考察することが必要であり重要であるとの認識が本研究の出発点である。本研究プロジェクトでは「きわめて稀に起きる事象」と「しばしば起きる事象」の評価・分析法について研究を行っている。「稀な事象」に関わる経済リスクの数量的分析、統計学的分析という課題について理論的・実証的な観点から分析することにより、科学的根拠にもとづいた経済・社会における「経済リスクの分散化」という方策、公共的政策のあり方を研究中である。本研究プロジェクトでは経済リスクを(i)社会・人口リスク, (ii)自然災害と極端な事象のリスク, (iii)経済・金融・保険の対象となるリスク、に関連した3つの領域の経済リスクに分類し、リスクに係わる問題と相互に関わる総合的問題という二つの方向から問題を理論的に解明し、総合的な研究をふまえた経済リスクの科学的制御・管理の方策を研究している。 研究プロジェクトでは3年目となる2015年度は、引き続き参加者が研究活動を行い、テーマに関する国際的な研究集会や学会へ参加し、内外の研究動向の調査、研究報告を行った。本プロジェクト独自の研究集会を2015年12月に開催し、一部研究テーマが重なる「関西計量経済研究集会」などの研究集会の協賛活動も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究プロジェクトの三年目にあたり研究プロジェクトの参加者が個人もしくは共同で研究目標としてこれまで説明した内容にそって研究活動を行った。夏頃からは国際的な研究集会や学会に参加し、海外における国際的な研究動向を把握するとともに研究報告を行い、研究内容を深めた。また本研究プロジェクトにより小規模ではあるが、海外からの研究報告者・参加者を含めて2015年12月18日、東京大学経済学研究科小島ホールにおいて研究集会を開催した。さらに研究集会で報告された研究成果は東京大学日本経済国際共同研究センター(CIRJE)の研究報告書シリーズNo.20『経済リスクの統計学の新展開2015:稀な事象と再起的事象』としてWeb上で公刊している。この間の研究活動の研究成果の詳細は報告書、あるいは報告書に掲載されてある論文や原稿が引用している英文論文を参照されたい。
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Strategy for Future Research Activity |
関係する研究集会や学会などで研究の打ち合わせを行うとともに、関係する他分野における研究・研究者や確率論・統計学など数理科学の関係者、特に生命保険・年金・損害保険などの研究者や金融(ファイナンス)の関係者を交え、現代の社会・経済においては重要ではあるが、既存の研究分野では十分に取り上げられなかった研究課題をさらに議論している。また関係する研究者とともに、経済リスクの分析と科学的制御・統計的管理法についての共同研究を行っている。2016年度は国際的な研究活動をさらに活発化するとともに、本研究プロジェクトの最終年であることから2016年度の後半に研究成果をまとめる研究集会を国内で開催することを計画している。
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Research Products
(9 results)