2013 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀アジア世界における開発と経済発展―グローバルヒストリーの観点から
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25245048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秋田 茂 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10175789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 亨 信州大学, 人文学部, 教授 (10143520)
杉山 伸也 慶應義塾大学, 経済学部, 名誉教授 (30171185)
斎藤 修 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (40051867)
太田 淳 広島大学, 文学研究科, 准教授 (50634375)
水島 司 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (70126283)
宮田 敏之 東京外国語大学, その他部局等, 教授 (70309516)
島田 竜登 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80435106)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | 19世紀 / 工業化 / 農業開発 / 商人資本 / 経済ナショナリズム / 小農 / グローバルヒストリー / アジアの主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.第一年次は研究課題の再確認を行うことを主眼として、3回の研究会を行った。初回(2013年12月)は、先行した科研共同研究の成果である『アジアからみたグローバルヒストリー』の拡大書評会を行い、19世紀後半の南アジア・東南アジア・東アジア諸地域の経済発展を再考する研究史上の価値を再確認した。 第二回(2014年3月)では、(a)市場の二重構造化と工業化、経済ナショナリズム、(b)農業開発と小農・商業資本の二つのサブテーマに関して、分担者が取り組む課題を明確化した。
2.第三回(2014年9月)は、インド・ネルー大学歴史学部のAditya Mukherjee, Mridula Mukherjeeの両氏を招聘し、2014年度日本南アジア学会年次大会において、パネル"Reconsideration of the!9th Century from South Asia"を組織した。Aditya氏は、"Revisiting the 19th Century: A Perspective from the South"、Mridula氏は、"The Questioning of Colonial Modernity in 19th century India"と題する報告を行い、19世紀後半の世界経済への南アジア地域の編入により、脱工業化、脱都市化、帝国支配に対する広範な抵抗運動が見られた点を強調した。これに対して、Tirthankar Royの農業発展・中小工業発展論や、東アジア(日本)とのアジア地域間貿易によるボンベイを中心とした綿糸紡績業の発展等、帝国・植民地の枠を超えた柔軟な発想の必要性を確認した。
3.19世紀の南アジアにおける経済発展を確認する基本的史料として、British Library Oriental Collection所蔵のマイクロ資料を購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一年次は、10月からの半年間しか共同研究の時間がなかったため、2回の研究会しか実施できず、当初は分担の確認と相互の研究テーマの連関性、全体の中での位置づけの再確認に追われた。第二回研究会により、二つのサブテーマの関連性を明確にできたため、第二年次に向けた体制が整った。さらに、繰り越し金を使って企画した第三回研究会において、南アジアと東南アジア島嶼部での農業開発の比較検討を行い、(b)農業開発と小農・商業資本については、小農生産とアジア地域間貿易の発展、アジア現地商人の関与と役割等、共同研究の課題が一層明確になった。(a)市場の二重構造化と工業化、経済ナショナリズムについては、関連する基本的史料の入手と統計データの整備に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.第二年次も引き続き4回の定例研究会を開催して、二つのサブテーマに関する各自の研究課題を第一次史料を駆使して解明する。 2.不足する史料については、イギリス、フランス、インド、インドネシア等の公文書館や史料館を直接訪問し、必要なものを閲覧・入手する。 3.入手した史料については、基本データとして活用する「公共財」として、デジタル化による整理・分析作業を行う。そのために必要となる入力作業は、インドの業者に委託する。 4.「アジアの主体性」を考える具体的事例として、国際労働力移動とアジア諸地域との関連を論じた論文集Migration in Global Historyの編著者であるJan Lucassen, Leo Lucassenの両氏をオランダより研究会に招聘して、19-20世紀前半のアジア諸地域における移民・労働力移動とグローバル化、その起動因について議論を行う。
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Research Products
(23 results)