2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25245057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
柴 健次 関西大学, 会計研究科, 教授 (40154231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福浦 幾巳 西南学院大学, 商学部, 教授 (00149791)
佐藤 信彦 熊本学園大学, 会計専門職研究科, 教授 (20225981)
籏本 智之 小樽商科大学, 商学研究科, 教授 (20265044)
山田 康裕 立教大学, 経済学部, 教授 (20335160)
工藤 栄一郎 熊本学園大学, 商学部, 教授 (30225156)
浦崎 直浩 近畿大学, 経営学部, 教授 (60203600)
富田 知嗣 関西大学, 会計研究科, 教授 (60264743)
島本 克彦 関西学院大学, 商学部, 准教授 (60609965)
岩崎 千晶 関西大学, 教育推進部, 助教 (80554138)
松本 敏史 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90140095)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | 会計リテラシー / 大学教育研究 / 高校教育研究 / 就職教育研究 / 社会人教育研究 / 市民教育研究 / ICT教育研究 / アクティブ・ラーニング |
Research Abstract |
研究成果を教育に還元するためには汎用的な結論を導出する必要がある。そこで、本研究では、研究分担者の専門分野に拘泥せず、効率的な研究が可能なように6つの班を設定した。大学教育研究、高校教育研究、就職教育研究、社会人教育研究そして市民教育研究、そしてICT教育研究班である。 ①大学研究班は我々大学人にとって馴染ある教育環境なので、会計教育プロセスを検討する基本的対象である。大学4年間における過程という条件下において主題を検討する。②高校研究班は商業高校を対象とする。大学教育と本質的に同じ側面を有する一方で、大学進学を念頭に置いた資格取得の奨励など特殊要因もある。③就職教育研究班は会計の専門過程に属さないが、会社就職を希望する学生にはそれなりの教育ニーズがあることに配慮した研究である。④社会人教育研究班は大学なり高校を卒業して社会人となったものの、大学院での再教育(学びなおし)に期待している者を対象としている。⑤市民教育研究班は、対象の点で④と重複する場合もあるが、近年盛り上がりを見せる公会計の普及を意図している、⑥ICT教育研究班は上記5つの班と異なり、すべての学習者に共通するツールであるICT環境下での機器を利用した教育方法を模索する。 班別研究がバラバラな活動を行うと本研究に統一性がなくなる。そこで、研究の統一性は全体研究会で図ることとし、そこで研究代表者が常に研究目的を確認し、本研究に共通する基本概念の明確化を行うとともに、研究の推進方法を統制することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した内容の具体的な作業等の達成度は以下のとおりである。 ① 全体研究 3回の全体研究会において主題である会計リテラシーの定義の明確化、教育者・学習者双方の問題意識の明確化のための質問票の作成を行った。会計リテラシーの定義については「生きるに必要な会計知識」とした。個人に与えられた生活時間には制限がある。現代人として欠かせない必須の会計知識の特定が課題である。研究目標から見れば、1年目の進捗度は約40%程度である。 ② 全体研究とは別に班ごとに範囲を限定した会計リテラシーの研究に入った。各班ともにすでに数回の研究会を実施している。研究代表者は班別研究会が主題から離れないように統制を行っている。具体的には、大学教育研究班、高校教育研究班、就職教育研究班は高校・大学の協力を得て伝統的な紙媒体による質問票を作成する作業に入った。我々研究分担者の所属大学及び連携先高校での調査が可能であるため、伝統的な手法でアンケートが実施できると考えている。一方、調査環境の整いにくい社会人研究班、市民教育研究班、ICT教育研究班も質問項目の作成に入った。ICT教育研究班はすでに保有している教育資源を新たな視点から再利用するための準備に入った。進捗度は30%程度である。 ③ 海外視察 我々研究者のうち、工藤がイタリア、イギリス、マルタに、山田がイギリスに、浦崎が中国に、そして柴がフィリピンに行き、現地の大学の協力を得て、会計教育の概略の理解を行った。その際、可能な範囲で初学者教育用の教材を入手してきた。海外の訪問先は、かねて研究の連携関係がある大学を選択し、本研究の方法に問題がないか、国際比較可能な資料はないか、海外からの教訓は何かを探るために有効だと考えている。進捗度はやはり30%程度ということになる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究だが、①全体研究については、会計リテラシーの定義は合意を得たので、教育者や学習者がそれをどのように意識しているかを確認するために「会計教育基本調査」を実施する。その完成目標を2年目前半におく。具体的には、会計初学者に教授する際に何より重要な事柄は何であり、その重要項目に教え・学ぶ順番があるかなどを明らかにしたい。発見事項は研究代表者が2年度内にとりまとめを行う。 ② 班ごとの個別研究 いずれの班も「会計教育基本調査」の結果を個別領域に生かす工夫を行う。つまり「個別領域のリテラシー」をリスト化する。各班が担当する教育対象ごとに必要な会計リテラシーのリストは班長が作成する。これは①における全体研究でのリストと一対をなすものである。さらに、こうした基本事項を学習者が理解するための具体的方法を開発する。3年間の研究期間の中間年なので、いずれも進捗度を70%から80%までに高めたい。 ③ 海外視察 2年目は、富田がアメリカに、浦崎が韓国に、工藤がオーストラリアに、柴が欧米に行く。2年目の早い段階で初年度の海外調査を比較可能なように整理する。海外視察の結果、日本における教科書が貧弱であること、この原因となっている出版事情や、それを克服する教育予算の欠如など教育環境の問題も実感できている。初年度・2年度の視察内容が蓄積されるにつれて、国際比較分析を進展させていきたい。その際、合わせて入手したテキストを分析し、わが国でのテキストあり方につき提言していきたい。 このように会計リテラシーの内容の特定が優先する。しかし、年度途中からは、それぞれの教育の対象者ごとに目標が定まってくるので、その目標をいかにして達成するかという教育工学的発想の導入が可能になると考えている。
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Research Products
(16 results)