2015 Fiscal Year Annual Research Report
多様性と民主主義を視点としたシティズンシップ教育の国際比較研究
Project/Area Number |
25245080
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池野 範男 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10151309)
|
Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2017-03-31
|
Keywords | シティズンシプ教育 / 国際研究 / 比較研究 / 類型化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研は国内会議と国際会議による国際比較研究を通して、世界で多様な形で進められているシティズンシップ教育を日本型、アジア型、欧米型に類型化し、各型の構造と原理を析出し、グローバルな共通性とそれぞれの地域の固有性を解明する。 本研究で採用する研究の方法は、類型化による比較研究である。そして、本研究の目的として、国際共同研究によって、欧米型、アジア型、日本型のシティズンシップ教育を多面的に比較考察し、各型の構造と原理を解明することにある。2015年度は、シティズンシップ教育と、品格、徳や価値・規範、論争問題や永続的問題との関連に焦点化することにした。 その結果、次の5つの研究成果を出した。①米国と韓国の研究者とともに、「シティズンシップ教育における論争問題学習の意義と役割の国際比較」を開催し、論争問題学習を事例にして、知ティズンシップ教育の欧米型、アジア型、日本型という3つの類型化を試みたこと、②内外の研究者を招き、2015年7月23日広島大学で、7月25-26日キャンパスイノベーションセンター東京で、「品格、徳、シティズンシップ教育のためのプロジェクト」のもと、(通算)第4回国際会議を開き、市民社会における道徳性とシティズンシップの教育的関連を研究したこと、③米国の研究者とともに、「シティズンシップ教育実践の発展に研究はどのように寄与できるか?」について論議し、研究と実践の考察をしたこと、④英国研究者と、ドラマの教育とシティズンシップの教育のコラボ研究を開始し、シティズンシップ教育の在り方を別の側面から類型化を図りはじめたこと、⑤研究成果として、池野範男「シティズンシップ教育と道徳教育」、および .Putting the case for building a bridge between drama and citizenship education.を示すことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度は、国際会議など、3つの会議やシンポジウムを通して、欧米型、アジア型、日本型の3つの特質と構造を解明できた。特に、道徳性との比較、論争問題学習との対比で、3つの方の相違を明らかにすることができた。 その結果、日本語論文1編、池野範男「シティズンシップ教育と道徳教育」日本教育方法学会編『教育方法44 教育のグローバル化と道徳の「特別の教科」化』図書文化、2015年、95-108頁。英語共著論文1編、Ikeno, Norio; Fukazawa, Hiro; Watanabe, Jun; Elliott, Victoria; Shawyer, Catherine;Olive, Sarah Elizabeth; Davies, Ian, .Putting the case for building a bridge between drama and citizenship education. In: Citizenship Teaching & Learning, Vol. 10, No. 3, 2015、pp. 237-250.doi:10.1386/ctl.10.3.233_2, でそれを説明することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、本科研の最終年度である。多様性と民主主義という視点に立った、3つの、シティズンシップ教育の類型を解明する予定です。そのために、①シティズンシップ教育といろいろな教科領域での教育との比較、②米国や英国での比較研究、③それらをまとめ、海外での成果発表を行うことにより、本研究のねらいである「シティズンシップ教育を日本型、アジア型、欧米型に類型化し、各型の構造と原理を析出し、グローバルな共通性とそれぞれの地域の固有性を解明する」ことを達成することにしたい。
|